あまのじゃく
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跡部景吾の好きなところ
顔。顔がいいのはいいことだ。
声。耳に囁かれたら死ねる自信がある。
身体。さすがテニスをやっているだけあって鍛えられた無駄のない筋肉。
その他。
高身長、高学歴、高収入(?)と三拍子揃ったお得物件。俺様キャラでひと昔前の女性のハートを鷲掴みだ。
箱入りというわけではないが、世間の常識に疎い。電車も乗れない。かわいい。
自信家。溢れ出る自信、その自信はどこから来るのかと問い詰めたくなる時もある。
カリスマ性。単純に、惹かれるものがある。この人の背中について行きたいと思った部員は多い筈だ。
あほべ。たまに出るギャグキャラ要素。ギャップ萌えを引き起こす。
天才ではない。弛まぬ努力あっての彼だと思うと、私は…
跡部景吾の嫌いなところ
自信過剰。まるで世界が自分を中心に回っているような言い方をする。
観察眼。他人の本質を見抜く。それが本人にとって認めたくないものであっても、彼には関係がない。
俺様キャラ。嫌いというか、相手をするのが面倒くさい。
鈍感。相手の気持ちを思いやるのは下手。特に異性。
「以上」
「いや、何が以上だ、意味が分からねえぞ」
不機嫌そうに、いや実際不機嫌なのだろう。机をかつかつと指で叩いて、跡部景吾は私を見上げた。
「……跡部くんってわりと馬鹿」
「喧嘩なら買うぜ?」
「買われても困るから買わないで」
これだからこの男の相手をするのは嫌なのだ。と相手に伝わるように大きなため息をついて、私は向かい側のソファに腰掛けた。長く話すつもりはないのだが、相手が相手だけに言い逃げも出来ないのが悲しいところである。
「つまりまあ、この間の返事よ。お断りしますって言ってるの」
「あれがどこをどうしたらこの間の返事になるんだ。あとこの間じゃねえ、昨日の話だろうが」
「…細かいこと気にすると嫌われるわよ。どうでもいいけど」
「お前がどうでもいいなら気にしても構わねえだろ」
ちりちりとこめかみが痛む。考えようとする頭と考えまいとする頭が私の脳内で勝手に争い始めるものだから、平静を装うのも一苦労だ。そうこうしている間にも、たとえば私を見つめる視線だとか、どこか楽しそうな表情だとか、目から与えられる情報に私の脳味噌は混乱を極め、ついには爆発の兆しまで現れてしまった。いけないいけない、また勢いで変なことを言ってしまう。
ぐぐっと下顎に力を込めて、喉元まで出かかった言葉を呑み込む。深く深く息を吸って、投げ捨てるように吐き出した。
「私、テニスをしている跡部くんが好きなの。それ以外の、私生活に興味はないの。他の人たちと同じ立場でいいの。変わりたくないの。跡部くんの心を動かすような、そんな人間になりたくない…」
自分がそういう立場になってしまった時に、私はなにをしでかすか分からない。
もし彼の周り全てに干渉し出したら?自分の理想を彼に押し付けることになったら?考えただけで吐き気がする。
「……もういい?納得してくれた?」
心底うんざりしてます、と思っているように言えただろうか。機械的に、冷たい人間だと思われるように言えただろうか。こんな人間、傍にいない方がいいと思われなくては、そうでなければ私が許せない。
顔をあげられないまま、跡部くんの言葉を待つ。心臓が握り締められているような感覚がして、息をするのすら苦しかった。
「……馬鹿かお前は」
「馬鹿でいいし…」
「馬鹿じゃなくて大馬鹿か」
「うるさいほっとけ」
だいたいなんでそんな小学生みたいな罵倒するわけ?
思わず顔をあげると、そこにはなぜか嬉しそうな跡部くんがいて、その上何故か立ち上がって私の目の前に立っていたわけで。
なんでwhy?
「お前、俺のこと相当好きだな」
「え、なんでそうなるの?私断ったよね?なんで嬉しそうなの?」
「そうかそうか、俺もまさかそこまでお前が俺を好いてるとは正直思わなかったぜ。かわいいなお前」
「いやだから私好きとか言ってないよね?跡部くん人の話聞いてる?聞いてないよね?」
なにひとりで納得したように頷いてるの?意味が分からないんだけど、なんで?
「聞いてるぜ?ありのままの俺様が好きだって話だろ?」
「し、してない!そんな話してないよ!?ちょっと跡部くん!?」
ひ、人の話を聞けー!!