Ⅰ
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##笑顔と爪痕と甘い嘘の阿部と主人公ちゃん。阿部ちゃんが少しだけどす黒いかも。
「泣き止んだ?」
ふわりほわり、と優しい声色に上を見上げるとカフェオレを片手に私の家に律儀に送ってくれた阿部さんが笑って尋ねてくるのでこくりと頷く。
「何があったの。ふっかだろうとは思うけど。」
『あ、えっと・・・』
「・・・ここ、痕ついてる。」
するり、と首筋に指を這わせる阿部さんの指に先ほどあった深澤さんとのことが頭をめぐって顔を伏せる。”・・・照に抱きしめられるなんて、妬かせて楽しいの?”と甘い様でツンッと冷たい声が聞こえたと思ったら、唇を奪われて腰が砕けそうになる様な口づけに為す術もない私は阿部さんに指摘されて首筋に最後唇を寄せられたのを思い出した。
『っ~!』
「泣かせて、蕩けさせて痕残すなんて、やるなーふっか。」
『・・・へ?』
思い出して頭を抱える私は気づかなかった。いつの間にか、ふわふわした感触がいいよと薦めてくれた兄がくれたラグの上に押し倒されて上には綺麗な笑顔で笑いかける阿部さんがいて。自分の状況を理解するまで時間が掛かったと、同時に走る痛み。
「上書き。」
『へ・・・え、?』
「びっくりした顔も可愛いね。莉緒ちゃんはさ。」
『あの、阿部さん、退いてくれません・・・んぅ!』
言葉を紡ぐことを許さないと言わんばかりに深澤さんとは比べるのは可笑しいけど、荒々しい口づけに自分の唇を奪うのが阿部さんだという事実が受け入れ難くて、胸板を精いっぱい押すが全然ビクともしなくて。されるがままの状況のまま、酸素が薄くなる感覚に目を閉じそうになると、目元からほろりと落ちる水滴の感覚に少しだけ力を込めて、阿部さんの唇を噛んだ、と同時に離れる唇と阿部さんの身体。
「・・・噛まれるなんて、思わなかったや」
『どうして、』
「最初は憧れの作家さんに会えて嬉しかったよ。しかも、メンバーの身内だっていうから作品の話とか感想とか伝えられる関係になれるって思ったけど。今は、君の全部を知りたいの、俺。わかる?」
『深澤さんも、んぅ!』
「俺といるときにほかの男の名前出さないで?」
ラグの上から抱き起されて座ると同時にぎゅっと強く抱きしめられる感覚に比べてしまう自分がいるのが嫌で、頭を左右に振ると「ふっかと俺、どっちがよかった?」と意地悪な笑顔で私を見る阿部さんは出会った頃の優しい人ではなく、意地悪な人だった。
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