Ⅰ
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#担当編集ちゃんと偶然遭遇する佐久間さん。(と阿部ちゃん。)
深澤のせいで泣きじゃくる莉緒をあやしてから岩本さんが自分の代わりに叱ってくれるというのを聞いてから、律儀にも送ると言ってくれたのを断って莉緒と2人で出口に向かおうとしてはいた。
「あれ~?鈴じゃーん!」
「女性の名前大声で呼ぶのは失礼だよ?佐久間。」
廊下で彷徨っていると最近よく聞くでかい声にため息をつくが、私の隣で泣き止んだ莉緒がはじめに心を開いて懐いた阿部さんの声に顔を上げるもんだから、(仕方なく)足を止める。(決して出口がわからないから聞こうと思ったとかではない。)
『阿部さん・・・』
とととと、とぎゅっ、と阿部さんの服の裾を掴む莉緒。伊緒や莉緒の事を少なからず狙っている輩が見たら発狂するシーンではあるが、莉緒のことを構っていられるほど私も余裕がなかった。何故なら、自分はアイドルだと自覚している筈の相手が自分にべったりと抱き着いているのだから。
「莉緒ちゃん、どうしたの?よしよし。」
「鈴、さてはまたふっかとなんかあったのー?」
『鈴。阿部さんとお話して来てもいい?』
「え、・・・いいよ。」
段々と落ち着いたのを阿部さんに頭を撫でられるのに表情を緩めた莉緒のお願いに一瞬だけ迷うが、2つの視線に耐え切れず頷いた。莉緒にバレないようにこちらをじっと見る阿部さんの視線と、私の肩に軽く爪を立ててにこりと笑う佐久間の視線があったからだ。
「ああ、腹黒どもめ。」
「お口悪いよー、鈴」
あの後、阿部さんに連れられて私と離れた莉緒の背を見送りながらも自分から一切離れる気がない佐久間の頭を軽く叩いてこの状況どうしたものかと考える。ひとまず、深澤に見つかると奴のことだからこれをネタに冷やかしてくるのは目に見えてるので佐久間の指示で建物を離れて、自分の車に向かう。が、如何せん大の成人男性を成人女性が抱き抱えたままなのはほかの人からの視線がぶつかるものだから溜まったものではない。
「自分の職業忘れて異性に飛びつく奴に言われたくないわ。」
「だって、鈴が既読無視するのがわるーい。」
莉緒からの連絡がなければ、助手席に座る佐久間と一緒にアニメイト?とやらに行く約束を勝手に取り付けられていたのだが、佐久間より莉緒を優先した私の対応に面白くなかったのか、シンメである阿部の頭脳を使って、たまたま深澤たちのいるこの仕事場に足を運んで探そうと思ったら私たちと鉢合わせたと言うことだ。その後、佐久間の要望を聞くことになるのは決して出口まで無事出れたことに感謝したからだとは思いたくないが、それなりに楽しかったからよしとするのだった。
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