Ⅰ
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*メンバーとの距離感の近さにもやもやして爆発したふっかさん。
「紗雪」
『ん?どうしたの。ふっか』
最年長、最強の女帝。呼ばれ方は様々だけど目の前で俺を見る彼女は事務所の面々はもちろん、基本的に仕事を断らないのもあって俳優業をやるとその筋の人たちといつの間にか仲良くなって、毎回マネージャーからの事後報告を食らって、いくら言っても『みんなのことは蔑ろにする気はないから許して。』と困った顔で笑うものだからみんな強く言えなくて。だけど、ここ最近は特にひどい。特によく紗雪に引っ付く康二に佐久間。それと、引っ付きはしないけど側を死守する照にも。元々、俺がスキンシップとか苦手なのを知っている紗雪は俺が近寄らない限りは基本的には適度な距離感を保ってくれる。だけど、俺だって。
「・・・っ、」
『え?辰哉。どうしたの。ねえ』
「なんも、ないっ」
俺だって最年長だった頃と違って紗雪が加入してからは今まであった重圧とかプレッシャーとかも無くなって最初のころは違和感があって落ち着かなかったけど、俺らの前を誰よりも先に歩く彼女の存在のお陰で俺らは自分たちなりの個性をそれぞれ伸ばせられた。
『照。ちょっと空き楽屋行くから、時間になったらスマホ鳴らして』
岩「ん、わかった。」
『ありがと。ほかのみんなにも伝えておいて』
「・・・~っ、ひっく、ぐずっ」
元々今日は俺と照、それに紗雪の三人で集まって今後のグループの指針とか最近のメンバーそれぞれの個人の仕事の量の多さによって起こるメンバーそれぞれの限界は越えてないとかを話す為に早めに集まったはずだったのに。紗雪の顔を見た途端感情が決壊した俺は涙が止まらない状態で紗雪に連れられて空きの楽屋に連れてこられた。
『誰もいないから。泣いてる訳教えてよ。辰哉』
「やだ。」
『なんで~。人の顔見て泣くとか私流石にびっくりよ?』
「紗雪が悪い。紗雪が俺のこと構ってくんないから!」
『へ?』
感情が爆発したと同時にここ最近感じていたことを本人にぶつける俺。ぶつけた後に彼女の素っ頓狂な声に少しだけ涙が引っ込みそうになるが、今だけは”俺だけ”の彼女だから許されるよね。と自己完結した俺は俺の泣いた理由に考えが行きついたのか優しい顔で俺を見つめる。
『辰哉も甘えたい時はくればいいじゃん。』
「俺ばっか紗雪の事必要してるみたいでやだ。」
『我儘だな~。』
「我儘ならほかのみんなのも聞いてるじゃん!」
『あー・・・大爆発だ。』
「俺だって、楽屋とかで一緒にゲームしてる時、肩に寄りかかってもらいたいし、寄りかかりたいし、眠い時は膝枕貸してほしいし、無言で抱き着いた時はあやして欲しかったりするんだよ!」
キャラ崩壊も甚だしいけど、紗雪の前では歳下の男になる自分がいる。それだけ、彼女は俺が甘えた時は何も抵抗もしなければ嫌がりもしないから、自然と欲張りになるのは必然だ。—その後、泣き止むまで抱きしめてもらったのは言うまでもない。
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