Ⅰ
name change
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#兄との関係は雪解けを迎えた後。最年少に小説のモデルにお願いすることに。
身近な男性で私の描く新しい小説の主人公のイメージに近いのがラウールくんで。ほかのメンバーさんに言うと彼がもみくちゃにされるのは読めていたので、グループのマネージャーさんに鈴を通して連絡してもらって、彼のオフに合わせて私の家にご招待したのである。少しだけ鈴が「本当に大丈夫なの?」とここ最近メンバーさんの私へのアプローチ云々を思い出したのか警戒心むき出しに尋ねられたが彼はほかの皆さんとは違って伊緒の妹としての対応がきちんとわかるから大丈夫と伝えて納得してもらったのだが。
「お久しぶりです!莉緒さん」
『あ、はい。』
「感情爆発しちゃった。ごめんなさい!」
『いえ、ほかの方よりは大丈夫です。』
「へえ。ほかのみんなはどんな事したんですか?」
『えーと、とりあえずインタビューお願いしますね!ね!!』
最年少と言えど、立派な男性である彼は目を細めたまま抱きしめる力を強めつつ、私をじっと見降ろす。なんとも言えない雰囲気が流れつつも、切り替えてリビングに案内する。
「僕の事、男って認識してくださいね!」
『・・・さっきので実感したので、はい。うん。』
ソファーに座ってもらい私が最近気に入っている茶葉で淹れた紅茶をラウールくんにも出して、にっこり笑顔でこわーい事を言う彼の発言に焦りつつも、タブレットを起動し、インタビュー内容を確認し、仕事モードになってもらおうと試みる。私の動作に気がついたのかさっきまでの大人びた顔から仕事でよく見る顔で笑う彼に、底知れぬ何かを感じつつも、新作の為と頭の中で念じながら質問をしていく。
『・・・こんな感じで、ラウールくんをモデルすることも事務所に改めてインタビューで聞いた事を元に草案を私が纏めて提出するので、承諾を頂いたら帯にモデルはラウールくんってことを告知しても大丈夫?』
「ほかのみんなには内緒って条件なら。」
『え?』
「・・・ここ、隠しきれてませんよ?」
ほかのみんな、つまりメンバーさんに内緒で私の作品に自分がモデルと言うこと伏せる意味があるのか疑問に思っていると、向かいに座っていたラウールくんは私の首筋を指さす。そこには数日前に深澤さんと阿部さんの顔がちらつく。念のためラウールくんに見られるのを防ぐために絆創膏を貼ったのだが。
「ふふ、お兄ちゃんたち手ごわいなぁ。」
あの後、僕の指摘に莉緒さんは慌てた顔で僕に弁明しながらも真っ赤になった顔で僕を見上げるものだから、お兄ちゃんたちが必死になって争うのもわかる。でも、莉緒さんを手に入れるなら、押してばっかじゃダメって言うのも見てて分かったから今回の話はお兄ちゃんたちを出し抜くにはちょうど良かった。そのまま、少しだけ気まずい空気の中、別の部屋で待機していた鈴さんに追い出されてしまったけれど。
「あれ~?ラウ今日、オフじゃなかったっけ?」
いつもなら優しい安心感のある声で僕の名前を呼ぶその人は、僕が莉緒さんの家のエントランスから出てきたのが気に食わないのか、冷えた声で僕に尋ねるものだから笑顔で告げる。「ふっかさんこそ、付けるならもっとわかりにくいとこにしないとね!」と彼の顔を真っすぐ見つめると、驚きながらも「生意気な子になったね~」とひらりと躱されたもんだから、今のところはふっかさんを出し抜くのが目標かなと考えるのだった。勿論、莉緒さんの家に行こうとするふっかさんの手を掴んでごはんに連れて行ったのは僕なりのお詫びだよ。莉緒さんへのね?
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