12の式神が紡ぐ物語
『主との出会い』
俺がお嬢と出会ったのは、お嬢が二歳になる少し前だ。満マダムから、「葵ちゃんはハレの十二神将だけど、かなの守護四神なのよ。だから…かなが葵ちゃんを選んだら、傍にいてくれる?」と言われた。
「晴明様、ちょっといいか?」
「葵が俺の事を様付けして、敬語で話しかけてくるなんてどうした?」
あ、思いっきりバレてた。俺達十二神将は、創造主であるこの人の事が大嫌いだ。なので、よっぽどの事がない限り近づかない。
「神流様の事です」
「あぁ。葵がかなの守護四神だったよな」
「知ってたんですか?」
ちょっとからかったように尋ねると、複雑そうな顔で答えてくれた。
「いや、母さんが教えてくれるまで分からなかった。母さんのお腹の中に、かなが宿った時に…朱鷺に言われた。もし、女の子だったら守護四神を付けて欲しい。そして、俺も一緒に付けて欲しいってな」
「朱鷺が?それで、晴明様はなんと?」
俺は少し驚いた。朱鷺は、十二神将としての役目を嫌がっているように見えた。たぶん、全て残らず焼き付くしてしまう自分の力に怯えていたのかもしれない。
「勿論、いいって答えた。朱鷺が自分から何かをしたいって言うなら、止めたくはなかったからな」
「なるほど。分かりました。神流様に会いに行ってもいいだろうか?」
「構わないよ。行って来たらいいさ」
「ありがとうございます」
俺は礼を言い、主になる神流様の元へ向かった。ちょうど居間で伊万里嬢と満マダムが、遊んでいる最中だ。
「あら、葵ちゃん。来てくれたのね」
「はい」
俺が頷くと、伊万里嬢がいきなり神流様を渡してきた。驚いていると、腕の中で神流様が俺を見て、楽しそうに笑う。
「あーちゃん、よろちくねー」
「はい」
神流様の言葉に、俺は自然と笑顔になっていた。
