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「“なにか観ようか?”と肩を寄せ合うソファの夜」

観ていたのは、少し前に話題になった恋愛映画。
笑える場面も多くて、あなたがクスリと笑うたび、
隣の退さんも、ふっと目を細めていた。

途中、登場人物が雨の中で傘を差し出すシーンがあり――

「……あのときのこと、思い出しますね」

「ん?」

「退さんが、傘貸してくれた日。あれが、ちゃんと好きになった始まりだったかも」

「……あ」

退さんの耳が、ほんのり赤くなる。

「そういうこと、急に言うのずるい」

「ふふ。お返しです。退さんがいつも、ずるいので」

「俺、ずるいかな?」

「すごく、ずるいです」

顔を向けた瞬間、
あなたと退さんの視線が、ぴたりと重なった。

照れくさくなって、目をそらそうとしたそのとき――
退さんの手が、あなたの指先をそっと包んだ。

「……ずるいけど、君のこと、大事にしてるよ。ちゃんと」

「……はい。わかってます」

あなたは、彼の手にそっと力を込めて応えた。

画面の中では、エンディングロールが流れはじめる。

けれどふたりは、それを見つめながら、
ただ隣で、静かに寄り添っていた。

“何をするか”じゃなくて、“誰といるか”で、夜の意味は変わる。

そんなことを思いながら、
肩が触れたまま、時間がゆっくりと流れていく。

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