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「“なにか観ようか?”と肩を寄せ合うソファの夜」

「……ねえ、退さん」

夜の8時。
ゆるやかな音楽番組が流れるテレビの前、
あなたは温かいハーブティーを手に、退さんに声をかける。

「ん?」

「明日、予定ありますか?」

「ないよ。なんなら、今日ももう何もしないって決めてる」

退さんが緩やかに笑う。
あなたもその笑みに釣られて、口角を少し上げた。

「じゃあ、なにか一緒に観ませんか? 映画とか、ドラマとか……」

「いいね。……ほら、ちょっと寄って」

退さんがぽんぽんと自分の隣を叩く。
恥ずかしさを抑えながら、あなたはその隣に腰を下ろした。

最初は少し距離を空けていたけれど――
ふたりで画面を見つめるうち、
自然と肩がそっと触れ合う。

(あ……)

その小さな接触に、心臓がすこしだけ跳ねる。

けれど退さんは、何事もなかったかのように、
ただ静かに言った。

「……あったかいな。君」

「……退さんのほうが、あったかいです」

「そっか。じゃあ……一緒にいて正解だ」

その一言が、胸の奥をそっとくすぐる。
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