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山崎退視点 「もう寝るだけの夜に、君の文字が見たくなった」

頭の中に、彼女の顔が浮かぶ。
渡すとき、少し俯いていた表情。
紙袋を差し出すときの手の震え。

あの瞬間の空気が、
まるで映像みたいに浮かんでくる。

「……あのとき、何て返せばよかったんだろうな」

お礼以上の言葉を、
あの時の自分が、言えていたらよかったのに。

でも、
だからこそ今、こうして大切にしているのかもしれない。

この一枚の紙には、
“ありがとう”だけじゃなく、
彼女の気持ちがにじんでいた。

そして、
それを受け取った自分の気持ちも――
すでに“ただの好意”ではなくなっていた。

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