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山崎退視点 「こんなにあたたかい“お礼”があるなんて」

帰り際、袋を抱えながら、
気づけば、自然に口にしていた。

「これ、ひとりで食べるの、もったいないですね。
……今度、お礼にお茶でもどうですか?」

すごく緊張した。
声が裏返らなくてよかったと、心底思った。

でも――

「はい、ぜひ」

彼女がそう言ってくれた瞬間、
少し、世界が明るくなった気がした。

(……良かった。本当に)

袋の中にある甘いもの以上に、
今、俺の中に残っているのは
“ちゃんと気持ちが届いた”という確信だった。
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