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主人公視点

「傘のお礼……?」

休憩室のカウンターで、
お妙さんはグラスを拭く手を止めて、
わたしの話に眉を上げた。

「うん。こないだ、雨の日にばったり会って。
傘を貸してくれたんです。……山崎さんが」

名前を口にするだけで、
ちょっとだけ心臓が跳ねる。

お妙さんはすぐにニヤリと笑った。
(ああ、やっぱり察されてる)

「それで、何か渡したいって?」

「うん。お返しっていうか……ちゃんとお礼を言いたくて。
できれば、ちょっとだけ気持ちが伝わるようなものがいいなって」

「ふーん? それって、“気持ち”って、どんな?」

「……その、ありがとうの、もうちょっと奥の方……?」

あいまいに言ったのに、
お妙さんの目はキラッと光って、グラスを置いた。
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