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「お弁当ひとつで、今日が特別な日に変わったんです」

ご飯に梅干し。
玉子焼きに、きんぴらごぼう。
ウインナーがタコさんになってて、
小さなハート型のニンジンが添えられている。

「……え、これ、全部手作り……?」

「うん。忙しいのに頑張ってる山崎さんに、元気出してほしくて」

「……反則だ……」

泣きそうなほど胸がいっぱいで、
箸を持つ手がすこし震えた。

一口目の玉子焼きが、やさしくて甘くて、
その味に一瞬、胸がきゅっとなった。

「……おいしい。めちゃくちゃおいしいです……」

「よかった。……実はね、すごく緊張してたの。味、大丈夫かなって」

「そんなわけ……ないです。
もうこれ、世界で一番のごちそうです」

「大げさすぎ(笑)」

「ほんとです。……オレ、今日だけじゃなくて、
たぶん、これからもずっと、
この味を思い出して頑張れると思います」

「……」

気づけば、あなたの視線が、少しだけ潤んでいた。
そっと手を重ねると、そのぬくもりがじんわりと沁みてくる。

「……ありがとう。来てくれて。作ってくれて。
……オレのために、時間使ってくれて」

「ううん。あなたが頑張ってるの、ちゃんと知ってるから」

「……オレ、絶対に君を幸せにします」

それは、突発的な言葉だったかもしれない。
でも、嘘じゃなかった。

あなたが作ってくれた小さなお弁当は、
オレにとって、確かに“未来”の味がしたんだ。
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