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「触れたのは、手より先に、たぶん心でした」

🌙 山崎退side

夜の帳が降りて、
自室の天井をぼうっと眺める。

風呂にも入ったし、明日の準備も終えた。
もう寝るだけ――のはずなのに、
身体がまるで眠る気配を見せない。

理由なんて、ひとつしかない。

(……今日、手、つないだんだ)

それも、自分から。
しかも、ポケットの中でなんて、
客観的に見たら絶対に不器用で、間抜けで、どこか子どもじみてる。

なのに。

(……あんなに、心臓って鳴るもんなんだな)

君の手は、思ったより細くて、
でも指先は意外としっかりしてて。
最初、少しだけ震えてた。

(……緊張してたんだろうか。オレと、同じくらい)

触れてるだけで、あんなにも心が熱くなるなんて。
今も、掌がじんわり温かい気がする。

(明日も、手……つないで帰れたらいいな)

もっと触れたい、もっと一緒にいたい――
そんな想いが、まるで消灯できない電灯のように、
胸の中で灯り続けていた。
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