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「恋が、生活の中に紛れ込んできた夜」

いつのまにか、
並んで立っている、狭いキッチン。

石鹸の香りがほんのり香って、
彼が静かに手をこすり合わせる音が水音にまぎれる。

わたしも隣で手を洗い始めたけれど――
不意に、彼の手の甲が、わたしの指先に触れた。

「あっ、ごめ――」

「……」

(……触れた)

ほんの少し。
ほんの一瞬。

でも、
それだけで、呼吸がひとつ止まるほどに、
心が跳ねた。
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