第一章.
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「さっきのキラキラ、これじゃないかな?」
恐らく無理矢理連れてこられたのだろう。
青年の隣には、ぶすっと口をへの字に曲げている美少年...、いや美青年が立っていた。美青年は不機嫌そうに強制連行してきた前髪の彼を睨みつけている。
態度の悪さも中々だけど、まずその外見に驚いた。
色素の薄い綺麗な白髪はゆらゆらと透き通っている。肌は病室にも似たこの部屋の白さに似ていて、それでもって健康的で遥かに値が張りそう。
そしてなにより、窓から差し込む陽の光に反射した彼の瞳は蒼かった。
「ジロジロ見ないでくれる?人に見られるのって嫌いなんだよ」
儚げな容姿に反して、その粗雑な口調に驚いた。
尻込みした私を、白髪の青年は鼻で笑い飛ばす。
「ジロジロ見るなってば」
それに関しては謝るけど、
「初対面相手に、その言い方は失礼だと思います......」
「は?俺の言うことに文句あんの?」
彼はマナーの悪い若者のように髪を指にくるくると巻き付け口を尖らせた。
彼を連れてきた青年にそっと視線を馳せると、なんとも言えない複雑そうな面持ちで私達を眺めている。
他の二人は優しそうなのにな...。
しかし、少女が先程言っていたように彼もこの二人の同期らしい。何が理由でこんなにも嫌われているのかはわからないけど、ここで折れてしまっては先が思いやられてしまう。
「あの」
恐る恐る声をかけてみれば、警戒した瞳がこちらを向いた。怯みそうになるのをぐっと堪えて、
「私、記憶がないみたいで...。そちらの方に助けていただいたみたいなんですけど、」
お世話になった方の知り合いのようですし、ご迷惑をおかけするかも知れませんが一時的でも仲良くしてください。
細やかに付け足した言葉。へらりと笑みを浮かべた私は、友好関係を築く握手のつもりで彼に手を差し出した。
「俺、自分の好みの女以外と握手しないって決めてるんだよね」
「......」
ダメだこの人、優しさの欠片もない。
「もういいだろ、俺行くから」
元々強制連行されて来たのだから、私と顔を合わせるのは乗り気じゃないんだろう。彼は振り返りもしなければ、別れの言葉もしないまま白いカーテンの向こう側へと去って行った。拒否された手が寂しい。
「ああ見えて、悪い奴ではないんだけどね」
それでも握手くらいはして欲しかった。
その夜、夢を見た。
私はキラキラと煌めく街並みの中、ふと大きく鳴ったクラクション音と共に暗闇へを身を投げ出されていた。
急に暗転する世界。
最期に視界の端で捉えたのは割れたスマートフォンの画面。そこに映し出されていたのは、妙に愛着のある漫画の一コマ。
『最期くらい呪いの言葉を吐けよ』
そんなの誰だって嫌に決まっているでしょ。
私の最期は大好きな人たちに囲まれて穏やかに終わりたい。きっと貴方だってそうだったんじゃないの、なんて画面越しの世界に問うたところで答えなんて分からないけど。
瞼が閉じ切る間際、ぶわりと青い薄闇に包み込まれる。
夢はそこで、呆気なくぷつりと途絶えた。
恐らく無理矢理連れてこられたのだろう。
青年の隣には、ぶすっと口をへの字に曲げている美少年...、いや美青年が立っていた。美青年は不機嫌そうに強制連行してきた前髪の彼を睨みつけている。
態度の悪さも中々だけど、まずその外見に驚いた。
色素の薄い綺麗な白髪はゆらゆらと透き通っている。肌は病室にも似たこの部屋の白さに似ていて、それでもって健康的で遥かに値が張りそう。
そしてなにより、窓から差し込む陽の光に反射した彼の瞳は蒼かった。
「ジロジロ見ないでくれる?人に見られるのって嫌いなんだよ」
儚げな容姿に反して、その粗雑な口調に驚いた。
尻込みした私を、白髪の青年は鼻で笑い飛ばす。
「ジロジロ見るなってば」
それに関しては謝るけど、
「初対面相手に、その言い方は失礼だと思います......」
「は?俺の言うことに文句あんの?」
彼はマナーの悪い若者のように髪を指にくるくると巻き付け口を尖らせた。
彼を連れてきた青年にそっと視線を馳せると、なんとも言えない複雑そうな面持ちで私達を眺めている。
他の二人は優しそうなのにな...。
しかし、少女が先程言っていたように彼もこの二人の同期らしい。何が理由でこんなにも嫌われているのかはわからないけど、ここで折れてしまっては先が思いやられてしまう。
「あの」
恐る恐る声をかけてみれば、警戒した瞳がこちらを向いた。怯みそうになるのをぐっと堪えて、
「私、記憶がないみたいで...。そちらの方に助けていただいたみたいなんですけど、」
お世話になった方の知り合いのようですし、ご迷惑をおかけするかも知れませんが一時的でも仲良くしてください。
細やかに付け足した言葉。へらりと笑みを浮かべた私は、友好関係を築く握手のつもりで彼に手を差し出した。
「俺、自分の好みの女以外と握手しないって決めてるんだよね」
「......」
ダメだこの人、優しさの欠片もない。
「もういいだろ、俺行くから」
元々強制連行されて来たのだから、私と顔を合わせるのは乗り気じゃないんだろう。彼は振り返りもしなければ、別れの言葉もしないまま白いカーテンの向こう側へと去って行った。拒否された手が寂しい。
「ああ見えて、悪い奴ではないんだけどね」
それでも握手くらいはして欲しかった。
その夜、夢を見た。
私はキラキラと煌めく街並みの中、ふと大きく鳴ったクラクション音と共に暗闇へを身を投げ出されていた。
急に暗転する世界。
最期に視界の端で捉えたのは割れたスマートフォンの画面。そこに映し出されていたのは、妙に愛着のある漫画の一コマ。
『最期くらい呪いの言葉を吐けよ』
そんなの誰だって嫌に決まっているでしょ。
私の最期は大好きな人たちに囲まれて穏やかに終わりたい。きっと貴方だってそうだったんじゃないの、なんて画面越しの世界に問うたところで答えなんて分からないけど。
瞼が閉じ切る間際、ぶわりと青い薄闇に包み込まれる。
夢はそこで、呆気なくぷつりと途絶えた。
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