夢主達の設定です。
赤い薔薇と青い薔薇篇
夢主の設定
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アリスの母ルイズは、アリスを妊娠している時に「呪い」が発動し、要注意妊婦となった。そして、キャロル家の当主はルイズに「街一番の優秀な医者」であるローズハート夫人にルイズの主治医に依頼した。
ルイズとローズハート夫人は「同じ年の息子がいる」という共通点から、自然と話が合った。その為関係は良好であった。ルイズの長い入院生活の中、二人は主治医と妊婦という関係から「友人」となった。
ルイズはローズハート夫人とは真逆の温厚な人物であった。ローズハート夫人の家庭でのことにもよく耳を傾けていた。家庭環境も子供の育て方も全く違うが、同じ母として共感できる部分も多かったのだ。ルイズは長い入院生活の中で、毎日の家族のお見舞いの他に、ローズハート夫人とのお喋りが楽しみとなった。
そして、予定日より数週間早くアリスは産まれた。その日、キャロル 家の当主の占いでは「母子共に死ぬ」と出ていた。その通り、アリスは出産時、重度の仮死状態であり、生死の境目にあった。そして、ルイズは出産時の出血が多量で生まれたばかりのアリスの顔を見ることも、アリスを抱くこともなくそのまま生き絶えてしまった。蘇生措置を行なったが無駄だった。しかし、アリスはその後仮死状態からなんとか持ち直し、後遺障害も残らず生き延びることができた。これも、全て「街一番」の医者であるローズハート夫人のおかげであった。
キャロル家の者――アリスの家族はローズハート夫人を褒め称えた。占いでは「死ぬ」と出ていたアリスを無事蘇生させるとは、と。そして、「呪い」により短命の一族であるキャロル家お抱えの医師となった。だが、当のローズハート夫人は「自分の患者であり、そして友人を死なせてしまった」と、優秀な医師としてのプライドと心に傷を負った。
そして、キャロル家の当主はローズハート夫人の医師としての腕を非常に高く評価し、まだ産まれたばかりのアリスと、ローズハート夫人の息子・リドルの婚約を決めた。ローズハート夫人もルイズの事や、キャロル家が伯爵の地位を持っており、「自分の息子に相応しい」と納得した。婚約内容はアリスが十六歳になった時に結婚する、というものであった。リドルはその時まだ四歳であり、産まれたばかりのアリスの顔を見ても「将来結婚する相手」だと上手く認識できなかった。
しかし、その後キャロル家の血を引く者は次々と「病」によって死んでゆく。アリスの父はキャロル家の血は引いていないが、アリスがまだ幼い頃に「事故死」してしまった。
アリスの父はよくリドルを褒めていた。リドルは自分の子供達よりずっと「優秀」で、「いい子」だったからだ。妻のルイズに先立たれてから、その喪失感に耐えられず子供達、特にルイズの死に深く関わったアリスに対し愛情を注ぐことができなかった。そして、ルイズが生きてさえいれば良かったのに、と思っていた。
パーティーの時、幼いアリスはリドルにこう言っていた。
「アリスのお家はここじゃなくて、ここのうしろにある小さなお城なの」
アリスの言う「小さなお城」はアリスが軟禁されていた「小さな塔」のことである。アリスは世間体の時を保つ為にパーティーの時だけ外に出ることができ、その他の日は外に出ることを許されていなかった。だが、アリスは魔法を使って勝手に外に出ていたので軟禁も意味が為していなかったが。幼いアリスは軟禁されている小さな塔を見て、「小さなお城」だと認識したのだ。
「ねぇリドル、パーティー、つまんないからアリスのお城にいこう?」
パーティーがあまりにもつまらなかったので、アリスはリドルを「自分の家」に誘った。しかし、リドルは断った。
「アリス、ダメだよ。パーティーを抜け出したらお母様達に怒られてしまう」
優しく言うが、その時アリスは「我儘」を言った。幼いながらも、直感で単なるパーティーではなく「大人の社交パーティー」だと認識していたのだ。こんなところで過ごすより、パーティーから抜け出した方がずっと「楽しい」と思ったのだ。
「いやだ!」
「うわっ!あ、アリス!」
アリスはぐいっとリドルの手を引っ張って、パーティー会場の外へ行こうとする。無意識に魔法を使っていたので、四つ上のリドルでもその手を離せなかった。
アリスが「扉を開けて外へ行こう」というところで、アリスの兄ミシェルが立ちはだかった。
「アリス。リドルを困らせるんじゃない」
「ミシェル兄様!アリス達は外に行くからそこを退いてください!」
「嫌だね」
アリスがミシェルに対し怒りを覚え、魔法を使おうとリドルの手を離したところでミシェルは鬼のような顔でこう言った。
「あんまり我儘を言うとまたお腹を壊すはめになるぞ」
「うっ……それはいや……」
ミシェルはアリスが言うことを聞かなかった日には、罰として大量の下剤の入ったジュースを飲ませたり、食べ物に混ぜていた。アリスはミシェルの仕業とはこの時は知らなかったので、「悪さをしたらお腹を下す」くらいの認識だった。
「分かりました。お外にはいきません」
「よろしい。リドルのことも困らせたんだから、リドルにも謝れ」
ミシェルはそう冷たく言い放ったあと、また何処かへ行ってしまった。
「リドル、ごめんなさい」
アリスがぺこりと頭を下げる。リドルは優しく、アリスの小さな頭に手を乗せてこう言った。
「お外はまた今度一緒に行こう。その時に『お城』に案内しておくれ、アリス」
「うん!やくそく!」
二人はそう約束したものの、結局約束が果たされることはなかった。
***
ふとアリスが目を覚ますとまだ夜中の二時すぎだった。
「昔の夢、か」
そう呟いて、また目を瞑った。そして「あの時の約束、果たされなくて良かった」と思った。きっとあの何にもない冷たくて薄暗い塔の存在を知ったらリドルに嫌われてしまっていたかもしれないから、と。
ルイズとローズハート夫人は「同じ年の息子がいる」という共通点から、自然と話が合った。その為関係は良好であった。ルイズの長い入院生活の中、二人は主治医と妊婦という関係から「友人」となった。
ルイズはローズハート夫人とは真逆の温厚な人物であった。ローズハート夫人の家庭でのことにもよく耳を傾けていた。家庭環境も子供の育て方も全く違うが、同じ母として共感できる部分も多かったのだ。ルイズは長い入院生活の中で、毎日の家族のお見舞いの他に、ローズハート夫人とのお喋りが楽しみとなった。
そして、予定日より数週間早くアリスは産まれた。その日、キャロル 家の当主の占いでは「母子共に死ぬ」と出ていた。その通り、アリスは出産時、重度の仮死状態であり、生死の境目にあった。そして、ルイズは出産時の出血が多量で生まれたばかりのアリスの顔を見ることも、アリスを抱くこともなくそのまま生き絶えてしまった。蘇生措置を行なったが無駄だった。しかし、アリスはその後仮死状態からなんとか持ち直し、後遺障害も残らず生き延びることができた。これも、全て「街一番」の医者であるローズハート夫人のおかげであった。
キャロル家の者――アリスの家族はローズハート夫人を褒め称えた。占いでは「死ぬ」と出ていたアリスを無事蘇生させるとは、と。そして、「呪い」により短命の一族であるキャロル家お抱えの医師となった。だが、当のローズハート夫人は「自分の患者であり、そして友人を死なせてしまった」と、優秀な医師としてのプライドと心に傷を負った。
そして、キャロル家の当主はローズハート夫人の医師としての腕を非常に高く評価し、まだ産まれたばかりのアリスと、ローズハート夫人の息子・リドルの婚約を決めた。ローズハート夫人もルイズの事や、キャロル家が伯爵の地位を持っており、「自分の息子に相応しい」と納得した。婚約内容はアリスが十六歳になった時に結婚する、というものであった。リドルはその時まだ四歳であり、産まれたばかりのアリスの顔を見ても「将来結婚する相手」だと上手く認識できなかった。
しかし、その後キャロル家の血を引く者は次々と「病」によって死んでゆく。アリスの父はキャロル家の血は引いていないが、アリスがまだ幼い頃に「事故死」してしまった。
アリスの父はよくリドルを褒めていた。リドルは自分の子供達よりずっと「優秀」で、「いい子」だったからだ。妻のルイズに先立たれてから、その喪失感に耐えられず子供達、特にルイズの死に深く関わったアリスに対し愛情を注ぐことができなかった。そして、ルイズが生きてさえいれば良かったのに、と思っていた。
パーティーの時、幼いアリスはリドルにこう言っていた。
「アリスのお家はここじゃなくて、ここのうしろにある小さなお城なの」
アリスの言う「小さなお城」はアリスが軟禁されていた「小さな塔」のことである。アリスは世間体の時を保つ為にパーティーの時だけ外に出ることができ、その他の日は外に出ることを許されていなかった。だが、アリスは魔法を使って勝手に外に出ていたので軟禁も意味が為していなかったが。幼いアリスは軟禁されている小さな塔を見て、「小さなお城」だと認識したのだ。
「ねぇリドル、パーティー、つまんないからアリスのお城にいこう?」
パーティーがあまりにもつまらなかったので、アリスはリドルを「自分の家」に誘った。しかし、リドルは断った。
「アリス、ダメだよ。パーティーを抜け出したらお母様達に怒られてしまう」
優しく言うが、その時アリスは「我儘」を言った。幼いながらも、直感で単なるパーティーではなく「大人の社交パーティー」だと認識していたのだ。こんなところで過ごすより、パーティーから抜け出した方がずっと「楽しい」と思ったのだ。
「いやだ!」
「うわっ!あ、アリス!」
アリスはぐいっとリドルの手を引っ張って、パーティー会場の外へ行こうとする。無意識に魔法を使っていたので、四つ上のリドルでもその手を離せなかった。
アリスが「扉を開けて外へ行こう」というところで、アリスの兄ミシェルが立ちはだかった。
「アリス。リドルを困らせるんじゃない」
「ミシェル兄様!アリス達は外に行くからそこを退いてください!」
「嫌だね」
アリスがミシェルに対し怒りを覚え、魔法を使おうとリドルの手を離したところでミシェルは鬼のような顔でこう言った。
「あんまり我儘を言うとまたお腹を壊すはめになるぞ」
「うっ……それはいや……」
ミシェルはアリスが言うことを聞かなかった日には、罰として大量の下剤の入ったジュースを飲ませたり、食べ物に混ぜていた。アリスはミシェルの仕業とはこの時は知らなかったので、「悪さをしたらお腹を下す」くらいの認識だった。
「分かりました。お外にはいきません」
「よろしい。リドルのことも困らせたんだから、リドルにも謝れ」
ミシェルはそう冷たく言い放ったあと、また何処かへ行ってしまった。
「リドル、ごめんなさい」
アリスがぺこりと頭を下げる。リドルは優しく、アリスの小さな頭に手を乗せてこう言った。
「お外はまた今度一緒に行こう。その時に『お城』に案内しておくれ、アリス」
「うん!やくそく!」
二人はそう約束したものの、結局約束が果たされることはなかった。
***
ふとアリスが目を覚ますとまだ夜中の二時すぎだった。
「昔の夢、か」
そう呟いて、また目を瞑った。そして「あの時の約束、果たされなくて良かった」と思った。きっとあの何にもない冷たくて薄暗い塔の存在を知ったらリドルに嫌われてしまっていたかもしれないから、と。
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