夢主達の設定です。
毒林檎と赤ずきん
夢主の設定
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「ブルーノサン、今日の夜、魔法薬学の勉強、教えてもらえませんか?」
寮でエペルがブルーノに話しかけた。それに対しブルーノは「いいよ、夕食後に僕の部屋に勉強道具を持って来てね」と二つ返事で返して、ポムフィオーレ寮にある実験室へ消えていった。
その会話を近くで聞いていた他の寮生達に、エペルは話しかけられた。
「エペルくんはブルーノくんと仲がいいんだね」
「えっ。そんなことはない、かな?」
「ブルーノくんは、魔法薬学なら学年でもトップを争える程の実力者だし、色々と教えてもらうといいよ。僕も魔法薬学の事で分からないことがあったらよく彼に聞いている。教え方も分かりやすいし、彼は良い人だ」
「そうですよね。ブルーノ先輩は話しかけやすいですし、映研の助っ人としてもすごく優秀だと思います」
「君もそう思っていたのかい?奇遇だね。僕もそう思っていたんだ。是非映研に入ってもらいたいところだけど、彼は魔法薬学を極める為にサイエンス部にいると言っていたから、その努力と向上心を萎えさせるような事は言えないのさ。助っ人として来てくれるだけでも有難いよ」
エペルを囲んで、皆ブルーノの話をし始めた。エペルは少し居心地の悪さを感じつつ、静かに皆の話に相槌を打っていた。
そして皆がエペルの元から捌けた後、誰にも聞こえないよう、小さい声でボソリと呟いた。
「そったごどはどっくにすってらのにな」
夕食後、入浴も済ませた後に、勉強道具を持って、いつものようにエペルはブルーノの部屋に向かった。そして、四回ノックをしてから、ドアを静か開けた。
「よく来たね。エペルくん」
エペルの視線の先には、栗色の髪の少女がいた。右は若草色、左は空色のオッドアイがエペルを優しく見つめている。ブルーノの本来の姿、本名はイブ・アイオロス。エペルはその姿を確認してから、部屋のドアの鍵をしっかり締めた。
「大丈夫。エペルくんが来る前に、この部屋に防音の魔法もかけてるから私達の会話は聞こえないよ」
「うん、ありがとう」
そう言って、エペルはイブが寝転がっているベッドの側に座った。そう、二人は現在付き合っているのである。二人はこうして、「勉強」を理由にして「二人きり」の時間を過ごしている。
「今日もお疲れ様。マジフト部は大変だねぇ」
そう言いながら、エペルの頭を撫でるイブ。
「あは、エペルくん、髪の毛さらさら〜」
そう言いながら今度は両手でわしわしとエペルの髪をかき混ぜている。
「それ……楽しい?」
「うん。すごく楽しい」
イブにとってはなんの変哲もないようなことが、とても楽しいようだ。なんて言ったってイブにとっては初めての恋人、寮長にも内緒の関係なのでそれだけでもワクワクするようだ。エペルは髪をわしわしとかき混ぜられているだけで「楽しい気分」になる恋人の気持ちがよく分からないようだが。
「あ、そろそろマジカメ更新しないと」
そう言って、エペルの髪をかき混ぜるのを止めて、スマートフォンと向き合うイブ。イブの他の顔である「アイドル・ベガ」のマジカメを更新する時間が来たのである。
「うーん……『ハッシュタグ #今日も一日がんばった #そろそろお眠のベガ #明日は動画更新があるから楽しみにしててね #おやすみなさい』っと。はい、本日のベガは終了〜」
と言って、撮り溜めておいた「ベガ」の自撮りをあげた。そして、枕に顔を埋めて深く溜息をついた。
「おやすみなさいって、いつもより早いんじゃない?」
「いーの。本当は予約投稿にしたいけど、こういうのは時間をバラバラにして、謎多きアイドル『ベガ』が本当に存在するのを皆に証明しないと。あ、そうだ、これ見てよ」
と言って、エペルにスマートフォンを渡した。エペルはそれを受け取って、画面を見る。そこには、学生の間で人気の安くて可愛いブランドの服を身に纏って、ポーズを決めている「ベガ」がいた。
「最近の仕事。これ、結構イケてるよね。今度雑誌で表紙を飾るんだ。あと『ベガの三十日着回しコーデ』みたいな特集も」
「ふーん……」
イブはティーン向け雑誌の表紙を飾れて、かつ特集も組まれるという割と大きな仕事が決まって嬉しいのだ。最近は少し仕事が少なくなってしまい、金銭的に余裕がなかったのでこの仕事が決まった時は大喜びした。だが、エペルは特に反応を示さない。その事に少しムッとしたイブが文句を言う。
「何よ。この『私』、可愛くないってわけ?」
今のイブにとっては、ブルーノもベガも生きていく上での自分の一部なのだ。
「いや、そうじゃなくて……。お、俺にとっては目の前にいるイブの方が可愛い……って思ってるから」
そう詰められて、タジタジになりながらも答えるエペル。その言葉を言った後に「なんで恥ずがすいごど言ってまったんだ」と顔を赤くして、目を白黒させた。イブは少し驚いたものの、すぐに目の前のエペルの腰に抱きついて、「ありがとう!そんなエペルくんのが可愛いけど!大好き!」と言った。エペルは「大好き!」といきなり抱きつかれたことで、緊張して固まってしまった。
「エペルくん?どうしたの?……あ」
「……」
「……」
イブもエペルに抱きついたまま、「勢いで抱きついてしまった」と恥ずかしさで固まってしまった。そして二人の間に何とも言えない沈黙が流れる。
この二人はまだ付き合って一ヶ月。イブから一方的に、かつ衝動的にこうして抱きついたりすることはあれど、キスはまだしていないのである。エペルもイブも年頃なので意識することはあれど、まだ実行はしていない。二人の時間はゆっくりと進んでいった。
寮でエペルがブルーノに話しかけた。それに対しブルーノは「いいよ、夕食後に僕の部屋に勉強道具を持って来てね」と二つ返事で返して、ポムフィオーレ寮にある実験室へ消えていった。
その会話を近くで聞いていた他の寮生達に、エペルは話しかけられた。
「エペルくんはブルーノくんと仲がいいんだね」
「えっ。そんなことはない、かな?」
「ブルーノくんは、魔法薬学なら学年でもトップを争える程の実力者だし、色々と教えてもらうといいよ。僕も魔法薬学の事で分からないことがあったらよく彼に聞いている。教え方も分かりやすいし、彼は良い人だ」
「そうですよね。ブルーノ先輩は話しかけやすいですし、映研の助っ人としてもすごく優秀だと思います」
「君もそう思っていたのかい?奇遇だね。僕もそう思っていたんだ。是非映研に入ってもらいたいところだけど、彼は魔法薬学を極める為にサイエンス部にいると言っていたから、その努力と向上心を萎えさせるような事は言えないのさ。助っ人として来てくれるだけでも有難いよ」
エペルを囲んで、皆ブルーノの話をし始めた。エペルは少し居心地の悪さを感じつつ、静かに皆の話に相槌を打っていた。
そして皆がエペルの元から捌けた後、誰にも聞こえないよう、小さい声でボソリと呟いた。
「そったごどはどっくにすってらのにな」
夕食後、入浴も済ませた後に、勉強道具を持って、いつものようにエペルはブルーノの部屋に向かった。そして、四回ノックをしてから、ドアを静か開けた。
「よく来たね。エペルくん」
エペルの視線の先には、栗色の髪の少女がいた。右は若草色、左は空色のオッドアイがエペルを優しく見つめている。ブルーノの本来の姿、本名はイブ・アイオロス。エペルはその姿を確認してから、部屋のドアの鍵をしっかり締めた。
「大丈夫。エペルくんが来る前に、この部屋に防音の魔法もかけてるから私達の会話は聞こえないよ」
「うん、ありがとう」
そう言って、エペルはイブが寝転がっているベッドの側に座った。そう、二人は現在付き合っているのである。二人はこうして、「勉強」を理由にして「二人きり」の時間を過ごしている。
「今日もお疲れ様。マジフト部は大変だねぇ」
そう言いながら、エペルの頭を撫でるイブ。
「あは、エペルくん、髪の毛さらさら〜」
そう言いながら今度は両手でわしわしとエペルの髪をかき混ぜている。
「それ……楽しい?」
「うん。すごく楽しい」
イブにとってはなんの変哲もないようなことが、とても楽しいようだ。なんて言ったってイブにとっては初めての恋人、寮長にも内緒の関係なのでそれだけでもワクワクするようだ。エペルは髪をわしわしとかき混ぜられているだけで「楽しい気分」になる恋人の気持ちがよく分からないようだが。
「あ、そろそろマジカメ更新しないと」
そう言って、エペルの髪をかき混ぜるのを止めて、スマートフォンと向き合うイブ。イブの他の顔である「アイドル・ベガ」のマジカメを更新する時間が来たのである。
「うーん……『ハッシュタグ #今日も一日がんばった #そろそろお眠のベガ #明日は動画更新があるから楽しみにしててね #おやすみなさい』っと。はい、本日のベガは終了〜」
と言って、撮り溜めておいた「ベガ」の自撮りをあげた。そして、枕に顔を埋めて深く溜息をついた。
「おやすみなさいって、いつもより早いんじゃない?」
「いーの。本当は予約投稿にしたいけど、こういうのは時間をバラバラにして、謎多きアイドル『ベガ』が本当に存在するのを皆に証明しないと。あ、そうだ、これ見てよ」
と言って、エペルにスマートフォンを渡した。エペルはそれを受け取って、画面を見る。そこには、学生の間で人気の安くて可愛いブランドの服を身に纏って、ポーズを決めている「ベガ」がいた。
「最近の仕事。これ、結構イケてるよね。今度雑誌で表紙を飾るんだ。あと『ベガの三十日着回しコーデ』みたいな特集も」
「ふーん……」
イブはティーン向け雑誌の表紙を飾れて、かつ特集も組まれるという割と大きな仕事が決まって嬉しいのだ。最近は少し仕事が少なくなってしまい、金銭的に余裕がなかったのでこの仕事が決まった時は大喜びした。だが、エペルは特に反応を示さない。その事に少しムッとしたイブが文句を言う。
「何よ。この『私』、可愛くないってわけ?」
今のイブにとっては、ブルーノもベガも生きていく上での自分の一部なのだ。
「いや、そうじゃなくて……。お、俺にとっては目の前にいるイブの方が可愛い……って思ってるから」
そう詰められて、タジタジになりながらも答えるエペル。その言葉を言った後に「なんで恥ずがすいごど言ってまったんだ」と顔を赤くして、目を白黒させた。イブは少し驚いたものの、すぐに目の前のエペルの腰に抱きついて、「ありがとう!そんなエペルくんのが可愛いけど!大好き!」と言った。エペルは「大好き!」といきなり抱きつかれたことで、緊張して固まってしまった。
「エペルくん?どうしたの?……あ」
「……」
「……」
イブもエペルに抱きついたまま、「勢いで抱きついてしまった」と恥ずかしさで固まってしまった。そして二人の間に何とも言えない沈黙が流れる。
この二人はまだ付き合って一ヶ月。イブから一方的に、かつ衝動的にこうして抱きついたりすることはあれど、キスはまだしていないのである。エペルもイブも年頃なので意識することはあれど、まだ実行はしていない。二人の時間はゆっくりと進んでいった。