夢主達の設定です。
ハーツラビュル篇
夢主の設定
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――翌日、放課後、図書室にて。
「(魔法が使えないとこんなに大変なのね……。座学中心だからなんとかなったけれど)」
アリスは、『異世界への生き方』を調べるために図書室へ来ていた。だが、昨日の件で中々身が入らない。頭の中はリドルのことばかり。そして、首輪がとても重く感じていた。
「(でも、どうしよう。どうやってリドルに話を聞いてもらうか……あのままだったら本当に……どうしたら……)」
リドルにどうしたら話を聞いてもらえるか。今のリドルに「必要なもの」は一体何なのか。この歳までろくな人間関係を築くことができなかったアリスには全く検討がつかなかった。そして、寮に戻れないアリスにはもう一つ問題があった。
「(というか教室で寝てたら、クラスメイトに白い目で見られたし、今日は別の場所で寝よう。人目につかない場所がいいかな…)」
そう、寝泊りするところだ。今朝教室で寝ていたところをクラスメイト達に白い目で見られたのだ。アリスは人生の中で一番恥ずかしい思いをした、と思った。なので、今晩は人目につかないところを探さなければならない。アリスの脳内はやることや考えないといけないことでパンクしそうだった。すると――
「(……?この声、マロンタルトの生徒達と、ユウとグリム……学園長とトレイ先輩の声も聞こえる……)」
エース達の声が聞こえてきた。何を話しているんだろう、と本棚の影に隠れて会話を盗み聞きすることにしたアリス。
「転寮かぁ。でもそれって、アイツに負けて逃げてるカンジがしてスッキリしねぇなあ」
エースが如何にも「納得がいかない」という風に話す。すると学園長がこう言った。
「ふむ。ではローズハートくんに決闘を申し込んで君が寮長になっちゃえばいいじゃないですか?」
「えええええ〜??!!」
「(決闘?!)」
皆が大声を出して驚く中、アリスも盗み聞きをしていることがバレないように両手で口を塞いで驚いていた。学園長は言葉を続ける。
「変でもなんでもありませんよ。ローズハートくんだってそうやって寮長の座を手に入れたんですから」
「(嘘?!そんな過去が……)」
アリスの知らないリドルの過去に驚く。エレメンタリースクールの頃から、リドルが優秀であったことは何となく知っていたが、まさか決闘をして寮長の座を手に入れたとは、と思ったのだ。
「確かリドルは入学して一週間で寮長になったって言ってたんだゾ」
入学して一週間で寮長になった、というところに反応するアリス。もしかしたら、あの兄より強いのでは、と思い、身震いした。兄と過ごした地獄の日々を思い出して、恐怖で身体が冷えていった。
「寮長に挑む権利は入学した瞬間から全生徒に与えられてますよ」
学園長の一言でアリスは我に帰った。そして、こう思った。
「(……寮長の座には興味ないけれど、決闘を申し込んで、リドルに勝てば、私の話を聞いてくれるかもしれない……)」
アリスは、魔法でリドルを傷付けるつもりはない。あくまで「話し合い」の席にリドルを座ってもらいたいだけ。でも、現在のリドルがその話し合いの席に着いてくれるか、と考えると、答えは否だった。なのでアリスの実力を見せて、リドルに認めてもらえれば、寮生としての自分の話を聞いてくれるかもしれない、と考えた。
「どうしますか?トラッポラくん。ローズハートくんに挑みますか?」
学園長がエース達に、「決闘を挑むかどうか」を尋ねた。
「おっし。ならいっちょやってやろうじゃん」
「なら僕も」
エース達は勿論挑むことを決めた。アリスもエース達の気持ちが分からなくもない。そして、エース達と「手を組んで戦う」という道を選んだ。
「学園長、今のお話聞かせていただきました。私も、この方達とリドル寮長に"決闘"を申し込みます」
隠れていた本棚の影からスッと身を表して学園長にそう告げると、学園長は、初めからそこにいたのを知っていたかのような反応をした。
「おや?キャロルさんもですか」
「?!」
「はい」
淡々と受け答えする二人だが、エース達はいきなりアリスが現れたことに驚いていた。だが、先程注意されたこともあって、声は最小限であった。
「えっ?!お前って噂の飛び級生……?!」
「アリス?!いつの間にこの話を……というか、お前達、本気か?デュースやアリスまで言い出すとは思わなかったぞ」
トレイは真面目そうなデュースや、リドルの婚約者であるアリスまでリドルに決闘を挑む、なんて思いもしなかったのだ。
「そうですか?男なら、一度はテッペンとってみたいじゃないっすか。挑むなら断然、チームのカシラっすよ」
デュースが拳を掌につけながら言う。その様子を見たアリスは「真面目そうなのに兄と同じことをする」と思った。そしてトレイにこう言う。
「トレイ先輩。私はリドル寮長のあの固い頭を殴ってでも、今の状態のリドル寮長を止めたいだけですよ。……もうこれ以上は見てられないんです」
「お前達……」
何だかんだで、アリスも結局「殴ってでも」とデュース達と同じようなことを言っているが誰も気にしなかった。
「うーん。正直、魔法では寮長に勝てるイメージが湧かないな。でも、拳でなら勝てるかもしれない」
「おっと、言い忘れてました。この決闘では、魔法以外の攻撃は使用禁止ですからね」
学園長の言葉に、エース達はたじろいでいたが、心の中で「それはそうでしょ……ここ、魔法士養成学校なんだから……」と学園長に同意した。
「はっはっは!ルールを守って楽しい決闘!決闘手続きは明日には終わっていますので、挑むタイミングはご随意に。では、私はこれで」
そう言って学園長は図書室から去っていった。エース達は自信なさげにアリスにこう言ってきた。
「よ、よーし!魔法にはちょっと自信ないけど……なんとかなるっしょ!こっちは三人いるんだし!」
「お、おう!飛び級生もそう思うだろう?」
「この人達、大丈夫なのかしら」と思いながら、「そうね」とだけ返した。そしてアリスはエース達に問いかけた。
「ところでマロンタルトの貴方達、今、寮から追い出されているんでしょう?」
「そうだけど……ってお前も首はねられてんじゃん!何やらかしたの?!」
アリスに首輪がついていることに気がついたエースが驚く。アリスはそのことに今更すぎる、と思った。
「これは昨日寮長と喧嘩になってしまって……って今私のことはいいの。それで貴方達、どこで寝泊りしているの?」
「監督生の所だけど……」
アリスはエース達に寝泊りしているところについて聞きたかったのだ。さすがに校内で二晩も野宿のような状態は避けたかったこともあって、この際だから便乗してしまえ、と思ったのだ。そしてアリスの予想通り、ユウのところにいると分かったので、アリスはユウにこう聞いた。
「分かったわ。ねぇ、ユウ。私もこの状態だから寮に戻れなくて……。この人達と作戦も立てたいし、今日、私もオンボロ寮に泊まってもいい?」
「いいけど」
ユウはあっさり承諾したが、トレイはそれを止めた。
「アリス、お前は寮に戻るんだ。昨日は連絡がつかなくて心配してたんだぞ」
あの後、トレイは連絡のつかないアリスを心配していた。だが、アリスは今の今までそんなことは知らなかった。
「ご心配、ありがとうございます。生憎スマフォは充電するのを忘れてて、電源が切れてまして……。でも今日は大丈夫です。オンボロ寮に泊まらせてもらうので。じゃあ、貴方達、私はちょっとやる事があるから、また夜にオンボロ寮で。トレイ先輩も私のことなんか気にしなくていいですよ。それでは」
スマートフォンの電源が切れていたのは事実なのだ。アリスはトレイに軽くお礼を述べ、エース達にはまた夜に、とだけ言って、調べ物の続きをするため図書室の奥へ消えていった。
「(魔法が使えないとこんなに大変なのね……。座学中心だからなんとかなったけれど)」
アリスは、『異世界への生き方』を調べるために図書室へ来ていた。だが、昨日の件で中々身が入らない。頭の中はリドルのことばかり。そして、首輪がとても重く感じていた。
「(でも、どうしよう。どうやってリドルに話を聞いてもらうか……あのままだったら本当に……どうしたら……)」
リドルにどうしたら話を聞いてもらえるか。今のリドルに「必要なもの」は一体何なのか。この歳までろくな人間関係を築くことができなかったアリスには全く検討がつかなかった。そして、寮に戻れないアリスにはもう一つ問題があった。
「(というか教室で寝てたら、クラスメイトに白い目で見られたし、今日は別の場所で寝よう。人目につかない場所がいいかな…)」
そう、寝泊りするところだ。今朝教室で寝ていたところをクラスメイト達に白い目で見られたのだ。アリスは人生の中で一番恥ずかしい思いをした、と思った。なので、今晩は人目につかないところを探さなければならない。アリスの脳内はやることや考えないといけないことでパンクしそうだった。すると――
「(……?この声、マロンタルトの生徒達と、ユウとグリム……学園長とトレイ先輩の声も聞こえる……)」
エース達の声が聞こえてきた。何を話しているんだろう、と本棚の影に隠れて会話を盗み聞きすることにしたアリス。
「転寮かぁ。でもそれって、アイツに負けて逃げてるカンジがしてスッキリしねぇなあ」
エースが如何にも「納得がいかない」という風に話す。すると学園長がこう言った。
「ふむ。ではローズハートくんに決闘を申し込んで君が寮長になっちゃえばいいじゃないですか?」
「えええええ〜??!!」
「(決闘?!)」
皆が大声を出して驚く中、アリスも盗み聞きをしていることがバレないように両手で口を塞いで驚いていた。学園長は言葉を続ける。
「変でもなんでもありませんよ。ローズハートくんだってそうやって寮長の座を手に入れたんですから」
「(嘘?!そんな過去が……)」
アリスの知らないリドルの過去に驚く。エレメンタリースクールの頃から、リドルが優秀であったことは何となく知っていたが、まさか決闘をして寮長の座を手に入れたとは、と思ったのだ。
「確かリドルは入学して一週間で寮長になったって言ってたんだゾ」
入学して一週間で寮長になった、というところに反応するアリス。もしかしたら、あの兄より強いのでは、と思い、身震いした。兄と過ごした地獄の日々を思い出して、恐怖で身体が冷えていった。
「寮長に挑む権利は入学した瞬間から全生徒に与えられてますよ」
学園長の一言でアリスは我に帰った。そして、こう思った。
「(……寮長の座には興味ないけれど、決闘を申し込んで、リドルに勝てば、私の話を聞いてくれるかもしれない……)」
アリスは、魔法でリドルを傷付けるつもりはない。あくまで「話し合い」の席にリドルを座ってもらいたいだけ。でも、現在のリドルがその話し合いの席に着いてくれるか、と考えると、答えは否だった。なのでアリスの実力を見せて、リドルに認めてもらえれば、寮生としての自分の話を聞いてくれるかもしれない、と考えた。
「どうしますか?トラッポラくん。ローズハートくんに挑みますか?」
学園長がエース達に、「決闘を挑むかどうか」を尋ねた。
「おっし。ならいっちょやってやろうじゃん」
「なら僕も」
エース達は勿論挑むことを決めた。アリスもエース達の気持ちが分からなくもない。そして、エース達と「手を組んで戦う」という道を選んだ。
「学園長、今のお話聞かせていただきました。私も、この方達とリドル寮長に"決闘"を申し込みます」
隠れていた本棚の影からスッと身を表して学園長にそう告げると、学園長は、初めからそこにいたのを知っていたかのような反応をした。
「おや?キャロルさんもですか」
「?!」
「はい」
淡々と受け答えする二人だが、エース達はいきなりアリスが現れたことに驚いていた。だが、先程注意されたこともあって、声は最小限であった。
「えっ?!お前って噂の飛び級生……?!」
「アリス?!いつの間にこの話を……というか、お前達、本気か?デュースやアリスまで言い出すとは思わなかったぞ」
トレイは真面目そうなデュースや、リドルの婚約者であるアリスまでリドルに決闘を挑む、なんて思いもしなかったのだ。
「そうですか?男なら、一度はテッペンとってみたいじゃないっすか。挑むなら断然、チームのカシラっすよ」
デュースが拳を掌につけながら言う。その様子を見たアリスは「真面目そうなのに兄と同じことをする」と思った。そしてトレイにこう言う。
「トレイ先輩。私はリドル寮長のあの固い頭を殴ってでも、今の状態のリドル寮長を止めたいだけですよ。……もうこれ以上は見てられないんです」
「お前達……」
何だかんだで、アリスも結局「殴ってでも」とデュース達と同じようなことを言っているが誰も気にしなかった。
「うーん。正直、魔法では寮長に勝てるイメージが湧かないな。でも、拳でなら勝てるかもしれない」
「おっと、言い忘れてました。この決闘では、魔法以外の攻撃は使用禁止ですからね」
学園長の言葉に、エース達はたじろいでいたが、心の中で「それはそうでしょ……ここ、魔法士養成学校なんだから……」と学園長に同意した。
「はっはっは!ルールを守って楽しい決闘!決闘手続きは明日には終わっていますので、挑むタイミングはご随意に。では、私はこれで」
そう言って学園長は図書室から去っていった。エース達は自信なさげにアリスにこう言ってきた。
「よ、よーし!魔法にはちょっと自信ないけど……なんとかなるっしょ!こっちは三人いるんだし!」
「お、おう!飛び級生もそう思うだろう?」
「この人達、大丈夫なのかしら」と思いながら、「そうね」とだけ返した。そしてアリスはエース達に問いかけた。
「ところでマロンタルトの貴方達、今、寮から追い出されているんでしょう?」
「そうだけど……ってお前も首はねられてんじゃん!何やらかしたの?!」
アリスに首輪がついていることに気がついたエースが驚く。アリスはそのことに今更すぎる、と思った。
「これは昨日寮長と喧嘩になってしまって……って今私のことはいいの。それで貴方達、どこで寝泊りしているの?」
「監督生の所だけど……」
アリスはエース達に寝泊りしているところについて聞きたかったのだ。さすがに校内で二晩も野宿のような状態は避けたかったこともあって、この際だから便乗してしまえ、と思ったのだ。そしてアリスの予想通り、ユウのところにいると分かったので、アリスはユウにこう聞いた。
「分かったわ。ねぇ、ユウ。私もこの状態だから寮に戻れなくて……。この人達と作戦も立てたいし、今日、私もオンボロ寮に泊まってもいい?」
「いいけど」
ユウはあっさり承諾したが、トレイはそれを止めた。
「アリス、お前は寮に戻るんだ。昨日は連絡がつかなくて心配してたんだぞ」
あの後、トレイは連絡のつかないアリスを心配していた。だが、アリスは今の今までそんなことは知らなかった。
「ご心配、ありがとうございます。生憎スマフォは充電するのを忘れてて、電源が切れてまして……。でも今日は大丈夫です。オンボロ寮に泊まらせてもらうので。じゃあ、貴方達、私はちょっとやる事があるから、また夜にオンボロ寮で。トレイ先輩も私のことなんか気にしなくていいですよ。それでは」
スマートフォンの電源が切れていたのは事実なのだ。アリスはトレイに軽くお礼を述べ、エース達にはまた夜に、とだけ言って、調べ物の続きをするため図書室の奥へ消えていった。