義父からの試練
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
最近、白玉に彼氏が出来たという噂が聞こえてくるようになった。というのも、倒れていた龍を見つけた白玉が介抱してしまい、龍がその姿を見て惚れてしまった、というのだ。そうして、二人で会う機会が増え、やがて龍から告白し、白玉は快く引き受けたという。まだ恋というものに目覚めていない白玉のことだ。何のためらいもなく返事したことだろう。
はてさて、突如現れた娘の恋人。どうすべきか。
「骨爺さま? どうかされましたか? 最近、食欲がないのですか?」
「…いや。何も。少し、考え事をな…」
「あ! そうだ! 骨爺さまに紹介したい方がいるんです! お家に連れてきても大丈夫ですか?」
白玉の言葉に、化鯨は動揺が隠せない。ガタガタと骨煎餅を持つ手が震え、うまく口に運べない。呼吸も出来てるか危うい。そんな状態になっている化鯨の気持ちを知って知らずか、白玉は慌てて化鯨の背をさする。愛娘の優しさに、ようやく気持ちがおさまると、化鯨は言った。
「うむ。お家はちとなぁ…。海妖広場の方でお願いできんか」
「え? そちらで、ですか?」
「あんまりお家を知られるとまずいからの。彼氏殿にそう伝えてくれんか」
「分かりました! 早速伝えに行きますね!」
そう言って、自宅を飛び出す白玉。残された化鯨は頭を抱えたのだった。
ーーー
一方で、白玉の介抱したという龍ーその名も黒龍。黒い髪に金色の目を持ち、その目元から赤い隈取りのメイクが施されている。そして、黒いコートの下には中華風の服を身に包んでいるといった青年の姿だ。
そんな黒龍は、異世界の通じる社近くで、白玉を待っていた。と、
「黒龍さまー! お待たせしましたー!」
水面から飛び出すやいなや、ぎゅーっと抱きついてきたのは、白玉。黒龍はそれを受け止め、抱き返しながらたずねる。
「おぅ、白玉。親父さんの返事はどうだった?」
「海妖広場で待つと言ってます! お家はダメみたいで…」
「だろうなぁ。こっから随分離れてるところを見れば、かなり分かりずらい場所で育て上げたんだろうな…」
「どうしますか、黒龍さま。海妖広場でお待ちになりますか?」
白玉は黒龍に抱きついたまま聞く。黒龍はふむ、と考え込んだあとで、こう言った。
「ひとまず海妖広場に行って待ってると親父さんに伝えてくれ……って、何か悪いな。伝言係みたいな扱いしちまって」
「いえいえ! お役に立てるならいくらでも! では、伝えてきますー!」
白玉はすりっと一度頬擦りしてぱっと離れると、また再び海の底へと潜る。離れた名残惜しさに後ろ髪を引かれつつも、黒龍は海妖広場へと向かって行った。
ーーー
そして、海妖広場にて。黒龍がベンチで待っていると、白玉が養父である化鯨と一緒に泳いでくるのが見えた。黒龍がここだと手を上げ、白玉と化鯨がやってきた。白玉が黒龍を紹介する。
「骨爺さま! こちらが黒龍さまです!」
「うむ。そうかぁ。お主が、黒龍殿か」
「初めまして。お義父さん。白玉とお付き合いさせていただいてます、黒龍です」
お義父さん、と言われた瞬間、化鯨は固まる。ぴしり、と、どこかしらの骨にヒビが入った。化鯨はプルプル身体を震わせつつも、黒龍にお辞儀する。
「これはこれは。ご丁寧に。白玉の養父、化鯨と申します。白玉がお世話になってますのぅ」
「いえ、こちらがお世話になりました。なんせ、彼女に救われたのですから」
「お腹すかせて、倒れてたんですよね!」
「ちょ、白玉! そこは伏せてくれって言っただろ…!」
黒龍が慌てるのを見て、白玉はくすくすと笑う。だがそんなほほえましい光景にも関わらず、化鯨は気を張り詰めていた。
「それで、黒龍殿。貴方にお願いがございます」
「あぁ、何だ?」
化鯨は、ずっと笑っていた目を開き、こう言った。
「ワシとひとつ、手合わせを願いたいのです。ーよろしいですかな?」
ピリッとした空気に、黒龍の口許にはうっすらと笑みが浮かんでいた。
「もちろん。ぜひ手合わせ願おうか」
はてさて、突如現れた娘の恋人。どうすべきか。
「骨爺さま? どうかされましたか? 最近、食欲がないのですか?」
「…いや。何も。少し、考え事をな…」
「あ! そうだ! 骨爺さまに紹介したい方がいるんです! お家に連れてきても大丈夫ですか?」
白玉の言葉に、化鯨は動揺が隠せない。ガタガタと骨煎餅を持つ手が震え、うまく口に運べない。呼吸も出来てるか危うい。そんな状態になっている化鯨の気持ちを知って知らずか、白玉は慌てて化鯨の背をさする。愛娘の優しさに、ようやく気持ちがおさまると、化鯨は言った。
「うむ。お家はちとなぁ…。海妖広場の方でお願いできんか」
「え? そちらで、ですか?」
「あんまりお家を知られるとまずいからの。彼氏殿にそう伝えてくれんか」
「分かりました! 早速伝えに行きますね!」
そう言って、自宅を飛び出す白玉。残された化鯨は頭を抱えたのだった。
ーーー
一方で、白玉の介抱したという龍ーその名も黒龍。黒い髪に金色の目を持ち、その目元から赤い隈取りのメイクが施されている。そして、黒いコートの下には中華風の服を身に包んでいるといった青年の姿だ。
そんな黒龍は、異世界の通じる社近くで、白玉を待っていた。と、
「黒龍さまー! お待たせしましたー!」
水面から飛び出すやいなや、ぎゅーっと抱きついてきたのは、白玉。黒龍はそれを受け止め、抱き返しながらたずねる。
「おぅ、白玉。親父さんの返事はどうだった?」
「海妖広場で待つと言ってます! お家はダメみたいで…」
「だろうなぁ。こっから随分離れてるところを見れば、かなり分かりずらい場所で育て上げたんだろうな…」
「どうしますか、黒龍さま。海妖広場でお待ちになりますか?」
白玉は黒龍に抱きついたまま聞く。黒龍はふむ、と考え込んだあとで、こう言った。
「ひとまず海妖広場に行って待ってると親父さんに伝えてくれ……って、何か悪いな。伝言係みたいな扱いしちまって」
「いえいえ! お役に立てるならいくらでも! では、伝えてきますー!」
白玉はすりっと一度頬擦りしてぱっと離れると、また再び海の底へと潜る。離れた名残惜しさに後ろ髪を引かれつつも、黒龍は海妖広場へと向かって行った。
ーーー
そして、海妖広場にて。黒龍がベンチで待っていると、白玉が養父である化鯨と一緒に泳いでくるのが見えた。黒龍がここだと手を上げ、白玉と化鯨がやってきた。白玉が黒龍を紹介する。
「骨爺さま! こちらが黒龍さまです!」
「うむ。そうかぁ。お主が、黒龍殿か」
「初めまして。お義父さん。白玉とお付き合いさせていただいてます、黒龍です」
お義父さん、と言われた瞬間、化鯨は固まる。ぴしり、と、どこかしらの骨にヒビが入った。化鯨はプルプル身体を震わせつつも、黒龍にお辞儀する。
「これはこれは。ご丁寧に。白玉の養父、化鯨と申します。白玉がお世話になってますのぅ」
「いえ、こちらがお世話になりました。なんせ、彼女に救われたのですから」
「お腹すかせて、倒れてたんですよね!」
「ちょ、白玉! そこは伏せてくれって言っただろ…!」
黒龍が慌てるのを見て、白玉はくすくすと笑う。だがそんなほほえましい光景にも関わらず、化鯨は気を張り詰めていた。
「それで、黒龍殿。貴方にお願いがございます」
「あぁ、何だ?」
化鯨は、ずっと笑っていた目を開き、こう言った。
「ワシとひとつ、手合わせを願いたいのです。ーよろしいですかな?」
ピリッとした空気に、黒龍の口許にはうっすらと笑みが浮かんでいた。
「もちろん。ぜひ手合わせ願おうか」