ヒーローに戻る!の巻

「久々にいい戦いができて満足だったぜ、
ありがとうよ!こっちがいい礼を言いたいぜ」
「(な、なにっ!?いい戦いが出来たから
礼を言うのか!?)」


いい試合ができたから礼を言うのか、と
天才マンは衝撃を受けて俯きながら
言葉を続ける‥


「‥そう言ってくれるのは‥ラッキーマン、君だけだ‥」
「でもよぉ、あともうちょっとで
俺もやられてた、お前はマジで天才だぜ
誇っていいんだよそんな後ろ向きになんなよ」
「っ!!」


あともうちょっとでやられていたと…
あともう少しで、勝つのが私だったと
言うのか!?



「い、いやそこまで情けをかけてくれなくていい‥!
勝ったのは君だ、君の戦闘経験と
咄嗟の起点により私は負けたのだ‥」

「…あんたは天才、そして今まで失敗
したことがなかった‥でもよぉ、それじゃあ
ヒーローとして成長はできねぇと思うんだ」

「‥?」



大ガマは一息つくと真っ直ぐに天才マンを
見て語り出す‥
なぜ、自分が勝てたのか
彼に足りないものはなんだったのか‥



「1回でも失敗してやらかさなきゃあ
自分の悪い所や弱点って分からねぇぜ?
勝ち続けてたらそれが分からねぇし
負け続けてたら前に動けねぇし
そこんとこ難しいよな」
「……ラッキーマン、」
「俺だってそう、何度も挫折しそうに
なったし何度も挫けそうになったけど
そのおかげでダメな所が分かってその度に
成長出来た‥‥成長には大事なんだよ、
1回でも失敗すんのは‥と、俺は思う」




自分のわがままで周りを巻き込んで合戦した事もあったし
自分の勝手で1人や仲間を巻き込んでしまった事もあった

だが、そのおかげで‥自分のダメな所が
見えてそれを改善しようと成長出来たのだ



「それに‥俺があんたを助けたのは、
あんたが元々俺らと同じヒーローとして
志してたやつだったからだよ、そんなやつを
悪のまんまにして殺すことなんてできねぇ」
「〜‥!!ら、ラッキーマン‥‥
そこまで、私のことを」



天才マンの目に熱いものが込み上げて
頬を濡らして思わず体が震える
‥目の前の大ガマの姿が涙で歪む



「あんたが認定証無くして道外しちまった
のもそれだろ?‥‥自分を責めんなよ…
また一からやり直しな、これで‥」

「……ヒーロー認定証……」



懐から取り出して天才マンに返したもの
ヒーロー認定証
ずっと探していた認定証
‥そこで、天才マンの肩に手が置かれた
‥会長の手だった



「!会長‥」
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