三兄弟の過去と大ガマの後悔の巻

大ガマの前世はその名の通りの
聖なるガマが時を得て化けた妖怪だった
最初はただの蛙だったが…化けて
妖怪になり人型になり…池ではない
様々な世界、新しい物や情報に
目を煌めかせたものだ
それが大ガマが新しいもの好きになった
理由だった



「…俺の前世での出生はこんなんだな…
んで、”アイツ”…土蜘蛛ってんだけどよ、
土蜘蛛は俺の妖生で1番のライバルだった」



最初はライバルと呼ぶには身分が高かったものだ
土蜘蛛は500年程も年上で…
彼の出生故に妖術や戦いの技術や
知性や身分も土蜘蛛の方が上で…
そんな彼に、大ガマは認めさせたかった

自分という存在を


「…いいや、尊敬してたのかもな…どっかであいつの事を本当は」


だから努力して大妖怪と呼ばれる程になり
軍の総大将を任され…ようやく彼と
同じ立ち位置に立てた時は嬉しかった
だが、自分と彼は根本的に反りが合わなかった


「土蜘蛛は古い文化を大切にする主義
俺は新しい文化に興味がある、そんなん
だから反りが合わなくて喧嘩ばっかでよぉ…」


喧嘩ばかりでも土蜘蛛の事は嫌いではなかった
だから長く時間がかかっても仲直り出来たんだと思う
……人間の友達に間に入ってもらった事もあったが



「だから…喧嘩しても仲直りできると思ってたんだよ………」



でも、それが…



「それがもう出来なくなるなんて思いにもよらずにさ」



ある日、また自分と土蜘蛛は喧嘩をして
口も聞かない日が続いた
けど流石に冷静になって明日謝ろうと
思っていた、のに


のに…



「俺達に明日は来なかった…俺らの世界、妖魔界が謎の奴らに襲撃を受けて滅亡
しちまったからな…」
「「!?」」


その当たり前は来なかった
妖魔界が滅亡してしまいその時に
自分も土蜘蛛も死んでしまったから…



「……死んじまったから…俺も別の世界に転生しちまったからもう仲直りはできねぇ」
「喧嘩することも…あいつと手合わせ
する事も酒飲み交わすことももう無理だ」
「「………」」



大ガマの過去に友情マンも勝利マンも
唇を噛み締めて俯く
…ヒーローというのは危険と隣り合わせ
もしも死んでしまったら…彼と同じ境遇になる



「…今でも思うんだ、あれが最後なんなら意地はらないで謝っときゃ良かったって」
「……あんたらはどうだ?まだ取り返し着くだろ……?また仲直りできる希望あんだろ…?」
「…………あぁ……」



大ガマの声はどこか寂しげで
どこか悲しげで…言葉をどう
かけようかと悩んだ



「…死んでしまったら仲直りどころかもう話すことすら出来ねぇ…」
「………前世の記憶持ったまんまでずっと
後悔し続けるのってさ、辛いぜ結構」



大ガマのその言葉になにも言えずに
静寂が内部を包んで…飛田くんの
エンジン音のみが響く…
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