祭り囃子の中での再会の巻

いきなり何を言うんだ、と土蜘蛛と
大ガマはあっけに取られたが
最初に土蜘蛛がその子供に声をかけた




「‥いきなり、どうした?童子よ」
「分からないの‥ただ、こう言わなきゃ
行けないような気がして」



そう言って顔を上げた子供
その子供の顔を見た大ガマと土蜘蛛は‥




「「!」」




なぜいきなり「友達になって」
なんて言い出したのか‥
パズルのピースのようにはまり分かった。




「あれ、僕なんでこんなこと
ご、ごめんなさいいきなり‥」
「いいぜ」
「え?」



その子供と拳を合わせる、と
大ガマの妖怪メダルが現れて
その子供の手のひらにメダルが納まった




「うむ、構わぬぞ」




そして次は土蜘蛛が子供と
拳を合わせてメダルを出すと
子供の手にメダルが納まった




「‥え、これなぁに?」
「俺たちが友達になったって
証だ、これから俺たちはダチだぜ」
「!本当?」



コクリ、と頷いて大ガマと土蜘蛛は
ほほ笑みを浮かべて横目で目を合わせた




「(そう約束したもんな)」




ギルガメッ手も救世手も置いて
「友達になって欲しい」と願えと
そうしたらその願いは叶える
ちゃんと覚えていたのだと
大ガマと土蜘蛛は心の中に
熱いものを感じた





「坊主、名前は?」
「僕?僕は‥里弥!皆からは
さっちゃんって呼ばれてるよ!」
「‥さっちゃん、な」




やっぱりこの子はあいつの生まれ変わりかと
大ガマと土蜘蛛は自覚して‥
その少年、里弥の頭を撫でた




「じゃあよろしくな?〘さっちゃん〙」
「うん!」
「‥ここは妖怪の世界の祭りだ、
お主は人間の世界へ帰さねば
ならないが‥その前になにか食うか?」
「!いいの?」



こくりと土蜘蛛が頷くと
さっちゃんはひとつの屋台を指さした




「じゃ、じゃあ僕‥チョコバナナ
がいいな!僕、バナナ好きなの!」
「あい、承知」




土蜘蛛がチョコバナナを買いに行き
大ガマがその間にさっちゃんと話す




「さっちゃんよぉ、お前‥兄弟とかいる?」
「もうすぐ生まれるよ!弟」
「そっか、そっか‥」




その弟というのは絶対「あいつ」だろうなと
大ガマは思った


もうこいつらは寂しくないな


1人じゃあない




「‥よかった」




それが、2人は嬉しかった
3/3ページ
スキ