おかえりなさいの巻

目玉の形をした信号機

奇抜な色のビル

季節外れだと言うのに
咲き誇る桜の花…




「(!!あぁ…!)」
「(…見えてきた…)」




見えてきた、懐かしき我が故郷
復興をほとんど終えた故郷は
前と大差変わらず賑わっていた

長く長く思い、恋しく思い
帰りたがっていた妖魔界が
ようやく見えてきた…





「…………っと」





妖魔界の地面へと近づくと
光は消え、土蜘蛛と大ガマは
何百年ぶりに故郷の地面を踏み締めた
辺りを見回す……
何も変わっておらぬ故郷に
目頭が熱くなった
故郷を見回していると後ろから声がかかった








「「親方様」」

「「大将」」

「土蜘蛛殿」

「土蜘蛛ちゃん」

「「大ガマ」」



「「……!」」




幻覚でもなんでもない、正真正銘
後ろから聞こえてきた仲間達の声
その声に…ゆっくりと、土蜘蛛と
大ガマはスローモーションで振り向いた





「っぁ……!!」
「……ぁ………!!」




振り向き、そこに居たのは…
「ずっと待ってた」と優しく
微笑んで土蜘蛛と大ガマの帰りを
待っていてくれていた…


元祖軍、本家軍の妖怪たち

ケータやケイゾウの友達妖怪

エンマ大王とぬらりひょん…


皆が、そこに立って二人を出迎えていた





「……皆……」
「……皆の者……」





もう涙がちょちょぎれんばかりに
皆を見る土蜘蛛と大ガマ
そして出迎えた妖怪達は目線を
合わせるとタイミングを合わせて…






「「おかえりなさい!」」





大きな声で声を合わせて、
笑顔で出迎えた





「……っはは」
「……ふ、ふふ」




そんな皆に思わず涙を滲ませて
笑うと大ガマと土蜘蛛は顔を合わせあい、
2人も笑顔で返した








「「…ただいま」」






そう返すと、土蜘蛛と大ガマに
本家や元祖の妖怪達が駆け寄り
2人に抱きつき再会の喜びを表した。
そんな彼らのことを土蜘蛛と大ガマも
頬を擦り寄せ抱き締め返して
再会を喜んだ




たとえ離れても、この空の下で
繋がっている…………



正義と愛の心を持っていれば
きっとまたあの世界への扉は開かれる
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