大宇宙神の巻

「なぁ土蜘蛛、ブラックホールに
入ってから随分時間たったな」
「ブラックホールは裏宇宙には
直接繋がっておるが大宇宙へ出るには
時空を曲げながら通り道を作らねばならぬ
だがブラックホールを使えば
何十日もかかるのを数時間で済む」
「なるほどな」



ブラックホールへ入った土蜘蛛と大ガマが
そう話す中努力マンはヒーロー神の
方を見やり…ぽつりと尋ねた




「大宇宙神様とはどんな人だったんですか?」
「…それは立派で誇り高く心優しき
素晴らしいお方だった…そして
大宇宙神様はワシを、我々の大宇宙を
救ってくれたお方」



ヒーロー神は語る
大宇宙神の教えがなければ
この宇宙は作れなかった
そして小宇宙は大宇宙神に
選ばれた小宇宙神が作るのだ
もう100億年ほど前のこと…



…………………………………………………………………………………


ヒーロー神は小宇宙神に任命されて
立派な宇宙を作るのだと燃えていた
だが…だがいざ作ればどこの星でも
争い、侵略、殺戮ばかりで
蔓延るのは力にものを言わせる独裁者




「(大宇宙神様の理想とする平和な星、
宇宙とは程遠い…私には小宇宙神等
無理だったのだ…)」




この宇宙、消してしまおう


ヒーロー神は1億年で自分の宇宙を
見放した…神が死ねば宇宙も消える
命を経つ事にし、飲まず食わずで
自分の死を待っていた…その時




「…ん?」



ヒーロー神はとあるものを見つけた




「うんしょ、うんしょ…」




そこには、荒れた星で生命など
生まれっこないのに荒地を耕している
1人の老人がいた
なぜあんな無駄なことを、とヒーロー神は
そのまま老人を放置して自分の死を待った



1000年

また1000年

また1000年と…とうとうヒーロー神は
弱り果てて倒れ込んだ




「(そろそろこの宇宙も私も…
寿命のようだ、大宇宙神様申し訳ありません…)」




まさに第3小宇宙が消えようとしていた

その時!




「…ん?何っ!?」




ヒーロー神は目を疑った
そこには…なんと荒地に三つの命が
芽が…芽生えていたのだ!!




「どんな荒地だろうと諦めずに
耕しておればいつかは芽が出る、
諦めちゃ行かん諦めちゃ…」




ほっほっほ、と笑いながら振り向いた
その老人の顔は…大宇宙神の顔そのもの!





「大宇宙神様!!」




ヒーロー神がそう叫ぶと、大宇宙神は
そのまま笑いながら去っていった…
その出来事をヒーロー神は忘れない
それからだった、何十億年もかけて
正義の心を持ったものを集めて
ヒーロー協会を作ったのは…
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