寂しがり屋の黄桜の巻

「‥‥‥歯が浮くからやめてくれよ」
「くっくっく‥」



クスクスと笑う土蜘蛛に
大ガマは不機嫌そうにしながら
ごくごくと酒を飲む
そして土蜘蛛は大ガマのブラスターを
見ると寂しげな表情を浮かべた




「‥‥‥お主はよく慕われておるな」
「え?あ、これか‥?」
「我輩はどうやら見放されたようだな」




そう言って俯いた土蜘蛛に
大ガマが悩んでいると、突如
空から「ヒューー‥」と言う
音が聞こえてきた




「ん?‥‥‥いやそんな事ないようだぜ?」
「?何故‥だっっ!?」




空を見上げて笑った大ガマに
首を傾げた土蜘蛛‥すると
彼の頭にバズーカが落ちてきて
地面に落ちた!!





「いたた‥なん‥‥!!これは」
「これは‥妖怪バズーカか」




土蜘蛛が妖怪バズーカを拾うと
それに反応するかのように
大ガマの時と同じくメダルが
現れ土蜘蛛の手の中に収まった




「‥これは」
「へへ、お前の事も見守ってたってよ」




土蜘蛛の手の中に収まっていたのは‥
元祖軍の妖怪たちのメダルだった
輝くメダルを手にして、土蜘蛛は
メダルを握りしめて涙を一筋流した




「‥その様だな‥」
「‥‥あ、土蜘蛛あっち」
「ん?」




大ガマが指さした先には
黄桜から貰った筒を持った
勝利マンの姿
2人は勝利マンに駆け寄る




「おーい勝利マン」
「!お前らか‥‥‥んでお前は
救世主マンか?」
「ん?おぉ、素顔は初めて見せたな」



勝利マンは2人の元へ振り返った、が
土蜘蛛が素顔を晒していることに
驚いていた



「その筒の中身は?」
「これは恐らく‥」




勝利マンが筒を開けると、そこには
三兄弟と両親の家族写真が
1枚入っていた



「やはりいつも父さんが肌身離さず持っていた写真…」
「‥黄桜のやつ持ってたんだな」
「‥む?おい後ろに何が」
「後ろには家族の名前が‥ん?」




勝利マンがそう言って裏返すと‥
そこには家族の名前と‥後からそこに
書き足されたのであろう子供の字で



きざくら


と書かれていた




「‥ふ、」
「‥黄桜の奴」
「‥」




勝利マンは御猪口を取り出すと
土蜘蛛と大ガマの御猪口に
酒を注いだ。




「!勝利マン」
「付き合えよ」
「おう、もちろんだぜ!」
「うむ」




そして3人は御猪口を合わせて
乾杯した。





「「寂しがり屋の黄桜に、乾杯」」




酒をぐい、と飲み干した
‥酒を飲んだ大ガマはふと、
話したかった事を思い出して
土蜘蛛の方を向いた





「そうだ、土蜘蛛」
「なんだ?」





そして美しい微笑みを
浮かべて土蜘蛛に告げた






「‥‥‥‥‥‥‥おかえり」





土蜘蛛はパチクリ、と目を瞬かせると
優しく微笑んで大ガマに返した





「‥‥‥‥‥‥‥ただいま」
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