寂しがり屋の黄桜の巻

さぁぁ、と風が吹き桜の花びらが
土蜘蛛と大ガマの元へと舞い落ちる
土蜘蛛と大ガマの手元の御猪口に
桜の花びらが入った。




「‥‥‥土蜘蛛」
「ん」





ずっと会いたくて、ずっと話したかった
はずなのにいざとなれば何から
話したらいいのかと大ガマは頭を
悩ませる




「腕、左腕大丈夫か」
「まだ痛むわ」
「だろうな‥‥‥なぁ」
「なんだ」
「‥‥‥‥そのさ」




頭の中で話したかったことを整理して‥
大ガマは小さく土蜘蛛に告げた





「‥ゴメンな」
「‥‥何がだ?」
「その、死ぬ前にあんたと喧嘩してたろ
ずっとその事心残りだった」
「H-1グランプリで言っておったな
‥大ガマ、我輩も謝りたかった」



大ガマが謝ると土蜘蛛も大ガマの方を向き
頭を下げて謝った。




「‥すまない、大ガマ」
「考えてた事、同じだな」
「‥だな」




くい、と酒を喉に流して‥
土蜘蛛はポツリ、と呟いた




「‥‥我輩はお主のおかげで救われた」
「へ?なんで?俺だろ救われたの」
「否、お主が表で活躍しておる事を
知ったから我輩は今ここにおる」
「どゆことだよ」




土蜘蛛は大ガマの方を見つめながら
その日のことを語った




「我輩はだな、さっちゃんの手下として
動いている際‥そのプレッシャーと
使命の重さとさっちゃんには叶わぬと
言う絶望からもう逃げたいと思っていた
だが‥」




あの日、コンピューターのモニターで
大ガマの姿を見て希望が見えたんだ





「お主が世直しマンと戦っておる
姿をみつけ、お主もこの世界へ
転生してるおる事を知って
我輩はやり遂げることが出来た」





嗚呼、お前もこの世界にいたんだと
お前も宇宙を守るために戦っているんだと
そう知った時、嬉しくて涙が止まらなかった
そして、この宇宙を守る為にと
耐えることができた


大ガマに会うために、と‥




「お主の存在が我輩を救ったのだ、大ガ
マ」
「‥‥なん、だよそれ‥‥らしくもねぇ」





土蜘蛛にらしくも無いことを言われて
大ガマは照れ隠しに酒をぐいっ!!と
呑んでまた御猪口に酒を注いだ
そんな大ガマに土蜘蛛はクスクスと笑う




「‥たった一人で耐えてきたあんたは
すげぇよ‥俺はみんなの力があったからこそで」
「何を言う、それがお主の強みだ」
「え?」

「どこにいようとも友を作り、
自分の居場所を作れる‥それが
お主の強みだ」




大ガマは友好的で明るい
だからこそ、そんな彼の元に
人が集まってくるんだと
土蜘蛛は語る
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