寂しがり屋の黄桜の巻

「何をしてる黄桜!!お前も来るんだろ!!」
「………………………私は、さっちゃんと一緒にチリになります」
「馬鹿な!!さっちゃんを倒して酒盛りする約束はどうした!!」
「私はさっちゃん様の最期を見届けなければ行けません」
「なぜだ!!やつはもう死んでる!!お前は生きろ!!お前はもう俺たちの仲間だ、こい!!」



勝利マンの言葉に黄桜は目を潤ませて…
鼻をすすり嬉しそうに微笑むと
首を振った。




「仲間…こんな私を仲間と…ありがとうございます、しかし私は…さっちゃん様と一緒に死にます…」
「き…黄桜、お前何故そこまで…」


「さっちゃん様の気持ちがわかるのは
私だけなんです」





黄桜は勝利マンに語った
‥自分は捨て子であったこと
捨て子だった自分をさっちゃんが
拾ってバナナを与えて育ててくれた事
なぜ自分を育ててくれたのか聞いた時




「お前がひとりぼっちで寂しそうだったから」



と答えたさっちゃんの後ろ姿が
寂しそうだった事




「‥‥」
「さっちゃん様は自分のわがまま故にいつもひとりぼっちでした、自分で蒔いた種とはいえ本当は寂しかったに違いありません
‥ラッキーマンや救世主マンの言う通り、
仲良くなる方法も分からなかった」




土蜘蛛がさっちゃんの下に
着いたばかりだった頃
さっちゃんが土蜘蛛にバナナを
与えた時は目が飛び出でるくらいに
驚いた物だった
静かに、ポツポツと語る
黄桜の目からポロポロと涙がこぼれる





「‥私と救世主マンだけだったんです
さっちゃん様が大好きなバナナを
与えたのは‥きっとさっちゃん様は
知っていた、救世主マンが従兄弟だった事
だからさっちゃん様なりに仲良く
しようとしたんでしょうけれど‥」




でも、さっちゃんは「脅迫」と「独裁」
しか知らなかった
そして土蜘蛛には「大ガマ」と言う
大事な存在がいて、彼とヒーローとして
歩んでいきたい彼がいて
土蜘蛛には歩むべき道がある
だから‥




「1人で死んでいくのも寂しいでしょうから、せめて私がおそばに…」
「‥‥」



黄桜のその言葉に‥‥勝利マンは
諦めたように目を伏せた



「わかったよ黄桜…」
「ありがとうございます、酒盛りはあの世でさせていただきます」
「黄桜…最後にひとつ頼みがある、いいか?」
「一緒に来いと言う願い以外ならば」
「お前の素顔を見せてくれないか?」
「…さっちゃん様が無くなってもう鉄兜は爆発しませんが、両手がなくては兜は取れませんよ」
「わかってる」



勝利マンは掴んでいた黄桜の手を離し…
黄桜は鉄兜を取る
すると黄桜の本当の
顔が顕になり黄桜はにっこり、と笑った





「黄桜よ…思った通り、いいツラ構えだぜ…」
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