寂しがり屋の黄桜の巻

‥そして大ガマが泣き止んだ頃、
土蜘蛛は上半身を起こして
大ガマを体から離すと自分が
消えたまま現れなかった訳を話した




「我輩がすぐに姿を表さなかったのは他のヒーローを救うため…我輩は長年
さっちゃんの手下の振りをしてあやつ
のやり方を見てきた、さっちゃんは
姿を消して相手の背後に現れて
ギルガメッシュを打つのだ」




次に土蜘蛛は救世手をかざした




「あの攻撃から救う方法は異次元からブラックホールを操ってギルガメッシュを撃たれる寸前に他の場所に移動させるしか
なかったのだ」


「「!!まさか!!」」




その言葉がどういうことか、それを
理解した大ガマと三兄弟は
土蜘蛛がかざした救世手を見る
土蜘蛛の救世手からブラックホールが
現れ‥!!




ドドーーーッ!!!!




「あっ!!!」




するとそのブラックホールから
消されたヒーローたちが現れたのだ!!




「お!?お、おぉー!!会長ーー!!」
「スーパースターマン!!」




ヒーローたちは何故自分たちが
生きているかと戸惑っていたが、すぐに
再会を喜び抱き合った。
それを見て大ガマはふと土蜘蛛に小声で問う
あの時いつの間にか自分が
離れたところにワープしていたのは‥





「‥じゃ、あん時いつの間にか
俺がワープしてたのは」
「我輩だ、お主がギルガメッシュに
より消されるその前にブラックホール
へ移動させ、さっちゃんの気が逸れた
その時にお主を元の場所に戻した

お主ならばさっちゃんを、と思うてな」





なるほどさっちゃんを倒せたのは
土蜘蛛の起点によるものだったらしい
ふ、と大ガマは微笑んで土蜘蛛から離れて
立ち上がった




「今回のラッキーはお前のおかげって訳ね」
「そんな事は」
「いいや救世主マン、お前はやはり我々ヒーロー協会にとっての救世主だったようだ」
「そんなことは無い…ただこの左腕、
救世手だけはさっちゃんのものよりも優っていると我輩は信じている」



…その時、倒れ付したさっちゃんが
ぴくりと手を動かし反応したのを
誰も見ておらず、気づいていなかった




「けっ、当たり前だぜ救世主マンを名乗って救世手で負けたらこの俺が許さねぇ!」
「とにかくこれで一件落着だな」




これで終わった、これで一件落着
そう思った‥のだが!!





「最期の力を振り絞った‥‥











ギルガメッシュ!!





さっちゃんが打ったギルガメッシュは‥



ドッ!!!!









「!?ぐぁぁぁっっ!!!」
「っ!!土蜘蛛ォッ!!!」






土蜘蛛の左腕に当たり
土蜘蛛は膝をついた!!
膝をついた土蜘蛛に大ガマが駆け寄り
土蜘蛛に寄り添った
土蜘蛛は救世手に酷い火傷を負い
左腕から煙をあげる‥



「土蜘蛛!!大丈夫か!?」
「っぐぐ‥‥救世手を、やられた‥!」
「野郎!!まだ生きてやがったか!!」
「く、くくく…こ、これでおまえ、らも…私と一緒に、死ぬのだ…」




苦しみ、痛み、死の間際にいながらも
さっちゃんは不敵な笑みを浮かべる




「この星はもうすぐブラックホールに吸い込まれる!!」
「なにっ!?」
「そうだった!!この星のすぐ側にはブラックホールが!!」
「この星はもうすぐ…巨大なブラックホールに吸い込まれる……そして、すべてチリとなるのだ…」



さっちゃんがまだ余裕を持っていたのは…
それだけではなかった
ヒーロー達が逃げられぬようにと
対策をしていたからだ!!



「そしてお前らがこの星へ入ってきた途端…この星の周りを裏宇宙で一番固い物質『ヤワラカクナイ』で覆った……フフ………これでお前達は、終わり…だ」
「ヤワラカク、ナイ‥ダメだ、固すぎる!!」




天才マンが膝をついた
そしてさっちゃんは大声で
高笑いをあげた




「そ…その通りだ、お…まえ…ら…も、私と…一緒に……死ぬのだ………」
「‥‥貴様‥‥っ!」
「!おい土蜘蛛、」




その時土蜘蛛が左腕を抑えながら
よろよろとたちあがりさっちゃんの
元へと歩いていく‥
ヒーローたちは
「きっとさっちゃんに
文句を言ってやりたいのだ」
と思い込み土蜘蛛を見守る‥





「‥何故だ」
「「!?」」





しかし、違った

土蜘蛛はさっちゃんに向けて
悲しそうな、悲痛そうな顔を向けていた





「何故‥何故貴様はその様な方法しか
取れぬのだ!!!」





土蜘蛛の声が響き渡る
その声はなんとも悲しそうな声で‥
まさか土蜘蛛がそんな顔を向けるとは、と
さっちゃんも呆然と土蜘蛛を見る




「‥‥貴様はいつもそうだ、本当は
寂しがりで友が欲しかったのだろう
だが貴様は間違った方法しか
知らぬ‥‥哀れな奴よ」
「‥‥‥お前は、私のものだ
救世主マン」
「我輩はお主の物では無い」




首を降り、土蜘蛛は続ける







「我輩を隣に起きたくば、
転生したその時‥我輩と共に
なりたいと改めて言え
さすればお主のその願い
この我輩、”元祖軍総大将 土蜘蛛”が
叶えてしんぜよう
だからその時までは」





さっちゃんの目の前まで来ると
しゃがみこんで、さっちゃんと目線を合わせた






「安らかに眠れ、お主が転生する
その時まで我輩と大ガマは待ち続ける」
「‥‥そうだな、救世手とギルガメッ手
置いて生まれ変わってこい
待ってっからよ」




その言葉を聞いたさっちゃんは
静かに瞼を閉じ‥
生まれ変わるその時まで、安らかな
眠りについた
土蜘蛛と大ガマに看取られて‥
2/8ページ
スキ