さっちゃんと土蜘蛛の過去の巻

15世は、453男の兄の息子である
土蜘蛛を目の当たりにして‥
希望の光が差し掛かった、と
土蜘蛛が息子を倒してくれる物なのだと
期待をした‥そしてそれは15世だけ
ではなく、土蜘蛛の存在を知った
裏宇宙の民も同じであった



彼こそが真の王のなのだと


彼こそが我々の救世主なのだと



彼こそが、本当に王になるべきだった
男だったのだと土蜘蛛に期待をして
土蜘蛛に平和と平穏を願った




「そして兄はその息子に
救世主マンと名付けて
救世主マンを厳しく、優しく
育てて救世主マンは強く育った
彼が息子を倒してくれると願った」




そんな兄の教育が実を結び
土蜘蛛は尊大で頼りがいのあり
正義感の強い男に育ち
救世手や数々の技を使い
民を助けてきた

そして30年前‥土蜘蛛は
さっちゃんの元へと飛んで行き
民は土蜘蛛に向けて声援を飛ばして
平和を取り戻してくれと願った







だが







「なんだお前は?」
「‥我輩の名は救世主マン、
貴方様に仕えたく思い参上
仕った次第であります‥
どうか我輩を傍に置いてくださいませぬか」
「ふむ‥いいだろう、変な事
したらすぐ消すぞ」





土蜘蛛は自ら鉄兜を被り
さっちゃんに跪いていた
‥土蜘蛛という最後の
希望の光も失い、とうとう
裏宇宙の民はもうどうする事も
出来なくなってしまったのだ‥



‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

「ふっ、救世主マンか…何を考えているのかこの天才にもわからん」
「俺にもだ、あいつはラッキーマンと
戦った時‥実力を全て出してなかった」

「‥‥‥」
「(そうか、土蜘蛛の奴‥そんな過去が)」





土蜘蛛の過去を聞き終えた大ガマは
俯いて拳を握りしめた
‥そうか、彼は生まれた時から
期待とこの裏宇宙を守るという
使命がのしかかっていたのだと





「(俺が表宇宙でぬくぬく過ごしてる間にも
あいつは苦しんでいた‥
でもなんでたよ、そんな使命を
どうして捨てたんだ)」




ギリ、と拳を強く握ったせいで
血が出る‥そんな大ガマの肩を
誰かが叩いた




「!」
「行くぞ、ラッキーマン」
「‥おう」




大ガマの肩を叩いたのは世直しマンだった
世直しマンに肩を叩かれ、大ガマは
その星から立ち去った
‥そして次の星へ行こうとしたその時!



「!!」



勝利マンが殺気を感じて
振り向いた、そこには‥
さっちゃんが親のいる星を見て
佇んでいた!



「「さ、さっちゃん!!」」



そして何をするかと思いきや
右手を露わにして星に向け‥




ドゴォォォォォン!!!!!!





「「あぁっ!?」」
「じ、自分の親がいる星を!!」




自分の親がいる星を、とヒーロー達が
絶句する中勝利マンが飛び出した
だがさっちゃんは直ぐに救世手を
使い消える‥




「さっちゃんどこだ!!隠れてねーで出てこい!!!」
「勝利マンよ、ゲームには順序がある!
後もう一つだ、後もう一つの星を越えてきたら戦ってやる。ぶわっはっは!!!」




広い宇宙にはさっちゃんの声が響き渡り…15世が纏っていた布切れが宙を悲しく漂っていた




「‥‥‥‥〜っ‥!!」




15世が消え去ったその光景を
モニターから目にした土蜘蛛は
左手を‥救世手を強く握りしめて
肩をふるわせた‥
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