孤独と絶望の涙の巻

救世主マンと大ガマが
2人話している様子だったから
覗いて見たのが始まりだった



「‥‥‥‥し、しょう」



努力マンは‥目の前の光景に
目を疑った。
自分の師である大ガマが‥
救世主マンを押し倒し泣いているのだ



あの、大ガマがだ




「(師匠が泣いている‥‥‥?)」




今までの会話は全て聞こえていた
そして状況も理解した
‥救世主マンが、大ガマの
ライバルである土蜘蛛で間違い無いこと‥
しかしその本人は記憶が無いこと‥‥
影で隠れて、二人の会話を聞いていると‥




「‥っあ、」




土蜘蛛が大ガマを押しのけて
試合場へと戻って行った。
大ガマが手を伸ばすがその手は
届かず‥大ガマはその場に崩れ落ちる。




「なんでだよ‥‥‥なんでだよ、
土蜘蛛‥‥ぉ‥‥!!!」

「っ!し、」
「まて」
「!!」



飛び出そうとした努力マンの
肩を掴んだ者がいた
振り向くと、そこには
兄である友情マンと勝利マン
そして天才マンと世直しマンの
姿があった




「‥いたん、ですね」
「‥‥‥‥出るな、あいつが
試合場に戻るまで‥‥
そんで俺らは知らないフリしてりゃいい」
「‥‥今は、泣かせておけ」




ここで出て、声をかけては行けないと
諭された勝利マンに努力マンは
渋々、と隠れて大ガマの様子を見る‥
大ガマは自販機に隠れて
自分の気持ちが晴れるまで泣く‥
その中、大ガマの本音が聞こえてきた





「‥‥ラッキーマンじゃねぇ‥‥
洋一じゃねぇ‥‥俺、は‥大ガマ‥だ‥」

「会いたい‥あいた‥い、」

「キュウビ‥‥大やもり‥‥
ヒライ神‥‥皆‥‥ぁ‥」




その言葉を聞いた4人は
顔を逸らし、なんとも言えぬ
表情を浮かべた‥
初めて彼が口にした涙ながらの弱音
そして本音

本当は、元いた世界に帰りたくて
その世界にいる仲間に会いたいんだと
‥努力マンは呟いた




「‥‥私たちに、できることはないんでしょうか」
「まず俺たちが「大ガマ」って
呼んだってあいつは満たされないだろ」
「‥‥‥でも、」
「‥‥そう呼んで欲しいのは1人だけらしい」



くい、と試合場の方を顎でさす
天才マンに努力マンは拳を握る




「‥‥私たちが、師匠の居場所に
なることは‥出来ないんでしょうか‥」
「「‥‥」」



3人はただ、沈黙していた
どうすれば大ガマの思いを満たすことか
できるのか‥彼らでも、思いつかない
ただ言えるのは‥


満たすことが出来るのは、彼だけ‥




「‥いつか気づいてくれることを願おう」
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