土蜘蛛と大ガマ その再会の巻

泣きながら叫んだ大ガマに
驚きはしたが…土蜘蛛は直ぐに
平静を装う。
顔についた大ガマの涙を拭うと
ぐい、と大ガマの胸を押して離れさせる




「……どうやらお前は妄想癖があるらしいな」
「………つちぐ…………」
「我輩の名は救世主マンだ、何度も
言わせるなうつけ者めが……どけ」
「っう、」



乱暴めに土蜘蛛は大ガマをどかせて
立ち上がり睨みつけると土蜘蛛は
大ガマに背中を向け
大ガマもよろよろ、と立ち上がる。




「いいか、お主を決勝で倒すのは
この我輩である…………分かったな」
「っあ、!」




コツ、コツ、とブーツの音を響き
渡らせながら土蜘蛛は静かに
試合場の方へと戻っていき…
大ガマは手を彼にさし伸ばしたが、
その手は届かず



「……つち………ぐも……」



土蜘蛛の姿は
試合場へと消え……大ガマは
膝から崩れ落ち、そのまま
呆然とした表情のまま涙を流す…




「なんで………だよ…………
そんなのって……そんなのって……
やっと…」



この世界で自分だけと思っていた
だけど、土蜘蛛も一緒だったと
知ってそれは嬉しかった
謝って‥仲直りしてまた
酒を飲み交わしたり…したかった
なのに…




「会えたのに…あんまりだ…………!!」




土蜘蛛は何一つ覚えてはいない
滝のように溢れ出す涙を拭う
事も出来ずに大ガマは
膝から崩れ落ちた体制のまま
声を上げて泣いていた…





「土蜘蛛………土蜘蛛………ぉ……!!」




そんな大ガマに背を向けて去った
土蜘蛛は……試合場へ着くと
一瞬、大ガマの方を振り向くと…
何事も無かったかのように席に着いた。




「……………ふん…………」




一瞬彼は、仮面の下の琥珀色の瞳を
ゆらがせた。
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