土蜘蛛と大ガマ その再会の巻

大ガマの思いを全て聞いた土蜘蛛は…
無表情で、そう言い放った
必死の言葉に対し何も反応せず
そう返された大ガマは…固まった



「……………え………?」



まるで時が止まったかのようだった
その間は長く思われたが…
土蜘蛛がその沈黙を破った




「前世?妖魔界?何を意味不明の事を…
我輩とお主はここで会ったのが初めてだ
訳の分からぬ妄想事を話すでない」

「……え、初めて……って…は…?」




仮面の下の彼はおそらく眉間に皺を
寄せている事か分かった。
まるで覚えていない様子の土蜘蛛に
頭が真っ白になり足元がふらつく…
そして、土蜘蛛の発言に大ガマは
1つの答えにたどり着いた





「お前…………お……




覚えて……ねぇの………?」





震える手で指さすと、土蜘蛛は
ふう…とため息をついて
腕を組むと言い放った。









「貴様が何を言っておるのかさっぱりだ」


「〜………っ!!!」





土蜘蛛に返された言葉に大ガマは
言葉を失い、顔色が真っ青になる
そして心の中に溢れる怒涛の
絶望と悲しみと寂しさの感情…





「…………………」




「これからは元祖と本家
共に手を取り合って行こうぞ」

「……お主のその努力は褒めてやろう」



「大ガマ」





やっと会えたと思ったら……
土蜘蛛は…何も覚えていなかった
妖魔界のことも…自分の事も……
元祖軍のことも……全部…全部。





「…は、はは……冗談寄せよ…
そんな冗談……笑えねぇって」




ひく、と口の端をヒクつかせながらも
辛うじて笑顔を作り土蜘蛛に歩みよる




「……あんたは元祖軍の総大将……
土蜘蛛だよ……救世主マンじゃなくてさ…
そんで俺は………本家軍総大将の…
大ガマだ………な、これで……わかったろ…?」

「…元祖軍…?本家軍…?」




震える声で、涙を堪えながら
そう教える大ガマに土蜘蛛は
口の結ぶと…首を振った





「知らぬな」
「っ……ぁ……あ……」





本当に土蜘蛛は覚えていない
そう実感し、絶望の底へ落とされた




「お主の言うておる土蜘蛛とは
我輩のことではないのではないか」
「違う!!その仮面取ってみろ!!」
「あっ!?」




大ガマは土蜘蛛のつけている仮面を
やや強引に奪い顔を見た。
仮面を剥ぎ取ったその顔は…




「………は、ほら……ほら!!
やっぱりあんたじゃねーか!!」




赤い隈取りに琥珀色の瞳
鋭く釣り上げられた切れ長の瞳…
間違いなく土蜘蛛で間違いなかった




「返せ!!何をする!!」
「あっ、」



仮面をいきなり奪われた土蜘蛛は
怒りながら大ガマの手から仮面を
取り戻すとつけ直した。
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