もっと知りたい彼の前世の巻
そして授業が終わったあとの放課後‥
大ガマは1人、ひっそりと教室を
出ると屋上へ向かい、屋上のドアを
開けると数歩歩き‥その場に寝転んだ
「‥‥‥‥あーーー‥ぁ」
大きなため息をひとつ吐くと
ごろ、と寝返りを打って
ポケットから小さな手鏡を
取り出し‥顔を見つめた
「(‥‥‥‥この世界には妖怪が
いねぇ‥って事は妖魔界も
無いんだよな‥‥‥‥)」
人間になって‥10数年
元の世界のことを忘れようとしても
どうしても忘れられなかった
軍の皆との楽しい思い出
元祖軍と戦いあった合戦の思い出
‥土蜘蛛と何度も手合わせをして
戦って
無理やり連れ出して一緒に出かけても見たり
「ホームシック‥と言うかワールドシックか?」
思い返せば思い返す度に
この世界には妖怪としての自分を
よく知る者は一人もいないという
寂しさに苛まれる
「‥‥なんだろうな、広い世界に
1人取り残されたみたいな‥」
かつて世直しマンは言った
自分はいつまでも前世の記憶に
囚われている女々しい男だと
‥何も言い返せない
「‥‥俺は孤独か」
ポツリ、とそう呟いた時
「それは違いますよ」
「,?」
その言葉に体を起こして振り向くと
そこには、天才の姿があり
大ガマは目を瞬かせた
「聞いてたのかよ」
「全ては聞いてはいませんが」
「あ、そう‥」
天才は大ガマの隣に座り込むと
口を開いた
「‥‥私は天才だから、貴方が
どんな事で悩んでいるかは知っている」
「‥‥‥」
「だが流石の天才でも‥前世の記憶は
ないので‥‥前世とは違う世界に
転生したあなたの孤独は分からない」
だが、と天才は大ガマの方を見つめた
「だが、一人ぼっちというのは違う
‥あなたは何でもかんでも一人で
抱えてしまうのが悪い癖だ」
「‥それ、あいつらにも言われたっけ」
「大ガマ、お主は抱え込む癖がある
その癖を何とかしたらどうだ」
「大ガマさぁ、少しは僕らの
事も頼ってよ?ね、大将」
土蜘蛛とキュウビの言葉が思い返された
「辛いことがあるのなら
遠慮なく、その辛さを吐き出していいんです」
「‥‥‥‥そーだな、そうかもな」
ならば、と大ガマは一つ弱音を漏らした
「‥‥‥俺はどうするべきなんだろうな
戻れもしないのに後悔し続ける
べきなのか‥‥振り切って、忘れる
べきなのか」
「‥‥」
寂しげに細められた大ガマの横顔を
天才は見つめて‥そして、不甲斐なさを感じた
「(どんなに私が天才でも、彼の
苦悩だけはわかることが出来ないだろう)」
前世の記憶があるというのはどんな
感覚なのか‥それが分からなくて
不甲斐なさを感じた。
大ガマは1人、ひっそりと教室を
出ると屋上へ向かい、屋上のドアを
開けると数歩歩き‥その場に寝転んだ
「‥‥‥‥あーーー‥ぁ」
大きなため息をひとつ吐くと
ごろ、と寝返りを打って
ポケットから小さな手鏡を
取り出し‥顔を見つめた
「(‥‥‥‥この世界には妖怪が
いねぇ‥って事は妖魔界も
無いんだよな‥‥‥‥)」
人間になって‥10数年
元の世界のことを忘れようとしても
どうしても忘れられなかった
軍の皆との楽しい思い出
元祖軍と戦いあった合戦の思い出
‥土蜘蛛と何度も手合わせをして
戦って
無理やり連れ出して一緒に出かけても見たり
「ホームシック‥と言うかワールドシックか?」
思い返せば思い返す度に
この世界には妖怪としての自分を
よく知る者は一人もいないという
寂しさに苛まれる
「‥‥なんだろうな、広い世界に
1人取り残されたみたいな‥」
かつて世直しマンは言った
自分はいつまでも前世の記憶に
囚われている女々しい男だと
‥何も言い返せない
「‥‥俺は孤独か」
ポツリ、とそう呟いた時
「それは違いますよ」
「,?」
その言葉に体を起こして振り向くと
そこには、天才の姿があり
大ガマは目を瞬かせた
「聞いてたのかよ」
「全ては聞いてはいませんが」
「あ、そう‥」
天才は大ガマの隣に座り込むと
口を開いた
「‥‥私は天才だから、貴方が
どんな事で悩んでいるかは知っている」
「‥‥‥」
「だが流石の天才でも‥前世の記憶は
ないので‥‥前世とは違う世界に
転生したあなたの孤独は分からない」
だが、と天才は大ガマの方を見つめた
「だが、一人ぼっちというのは違う
‥あなたは何でもかんでも一人で
抱えてしまうのが悪い癖だ」
「‥それ、あいつらにも言われたっけ」
「大ガマ、お主は抱え込む癖がある
その癖を何とかしたらどうだ」
「大ガマさぁ、少しは僕らの
事も頼ってよ?ね、大将」
土蜘蛛とキュウビの言葉が思い返された
「辛いことがあるのなら
遠慮なく、その辛さを吐き出していいんです」
「‥‥‥‥そーだな、そうかもな」
ならば、と大ガマは一つ弱音を漏らした
「‥‥‥俺はどうするべきなんだろうな
戻れもしないのに後悔し続ける
べきなのか‥‥振り切って、忘れる
べきなのか」
「‥‥」
寂しげに細められた大ガマの横顔を
天才は見つめて‥そして、不甲斐なさを感じた
「(どんなに私が天才でも、彼の
苦悩だけはわかることが出来ないだろう)」
前世の記憶があるというのはどんな
感覚なのか‥それが分からなくて
不甲斐なさを感じた。