喧嘩なんて情けねぇの巻

「な、殴り飛ばした…」

「いってぇな…!!」
「…何故、」

「何故じゃねぇだろボケ!!
自分勝手な考えで決闘なんざ
始めやがって、やるんなら
迷惑かかんねぇ場所でやれ!!!」



腰に手を当てて大ガマは説教を始める
まるで昔の自分と土蜘蛛のようだと
頭に手を当てたくなったが
大ガマは続けた



「こんなとこで戦ったら学校や生徒が
巻き添えになるとか考えなかったのかよ!!」
「!!…それは」
「パンチや光線が跳ね返ったりして
当たっちまったら怪我じゃすまねぇ!!
そうなったら責任取れんのか!?
死んだ人間は戻らねぇ、よく分かってんだろ!!」




大ガマの説教に確かに、と実感して
静かに彼の言葉を聞く…
大ガマはため息ひとつすると
激昂した様子から一変して
落ち着いて話し始める




「…すんなとは言わねえ、だが
辺りに何も無い、誰もいない
安全な場所でやりやがれ
…だがな、これだけは言わせろ
力を合わせて悪を討つヒーロー同士が
仲悪くっちゃあ子供の夢もクソもないぜ」
「「!!」」
「あんたら俺より長く生きてんなら
この言葉の意味わかんだろ」




確かに…

ヒーローとは力を合わせて想いをひとつに
して悪を討つ物だ
そのヒーローの想いがバラバラだったら…?
勝利マンはふっ、と笑った




「…確かに子供の夢を壊しちまうな」
「ら、ラッキーマン…その事を
わかって欲しくて間に入って
止めてくれたんですね…!!」




そして勝利マンと天才マンは
しばしの間目を合わせあうと
また、笑いあった




「この勝負ラッキーマンに免じて
お預けだな」
「ああ、我々と皆のために怒って
言い聞かせてくれた彼のために」


「皆!!師匠は2人が戦ったら
危ない事を知って止めてくれたんだぞ!!!」
「えーそうなのか!?ありがとうラッキーマン!!」
「…礼には及ばねぇさ」



にこり、と笑い手を降った大ガマだったが…
その眉は少し下がっておりどこか
元気がないような様子だった




「…」
「…?」



そんな大ガマの様子に気がついた者が
約数名居た…やけに自信満々な彼が
元気なさげに遠くを見ているのを…




「(…なんであんな夢見たんだ)」



「……目の前に討つべき敵がいると
言うのに何もせぬ阿呆が居るか!!」


「大ガマ……その命、貰った!!」




ただの夢 そのはずなのに
大ガマの脳裏に先程見た夢が
こびりついて…何度もループで
再生されていたのだった




「…土蜘蛛…」



しかしこれは…
後に、予感していたのかもしれない


最悪の未来を…
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