翔は3年の長き片思いの末に
その努力みのり理央奈と
めでたく恋人同士になった。
冷たかった理央奈も
翔に心開き、物腰が柔らかくなった



「翔さん」
「！理央奈ちゃん」



3年が卒業して理央奈は
茶道部の部長となった。
そして部活が終わるのを
部室の前で待っていた
翔は理央奈の声が耳に入ると
ぱっ、と寄りかかっていた壁から
離れて理央奈に駆け寄る。




「お待たせしてすみません
教室かどこかで待っててよかったのに」
「ここだとすぐ君に会えるからさ」
「立ちっぱなしでお疲れ様です」



ふ、と小さくため息を着くと
駐輪場へと向かう
今日は翔の自転車で2人乗りで
帰るらしい



「さ、後ろに乗って
しっかり捕まっててね」
「はい」




キーを差し込み、ロックを外すと
翔は自転車に乗り込み後ろを
ぽんぽんと叩いて理央奈を呼ぶ
理央奈は後ろに乗ると
翔の腰に腕を回した。





「じゃ、行こっか」



自転車のペダルに足をかけて
ペダルをこげば心地の良い風が
2人を取り巻いて前へと進む
景色は歩いている時とは違い
すぐにくるくると変わっていき
風を感じながらも理央奈は
その自転車からの景色を眺める…




「（もう夕日が）」




空を見上げれば夕日が空に輝いており
空はオレンジ色に染まっていた
そして河川敷に差しかかる。