そして最後は、先日キス事故を
起こしてしまった翔と理央奈だ
翔の熱は完全に感知しており
水泳実習にも出られるほどに
元気になったのだが



「…………あっ！あ、理央奈ちゃん」
「…ども…」




キス事件が起こってから…
翔と理央奈はどこか
ギクシャクとした雰囲気になっていた
理央奈自身もあのキス事件から
翔に対する対応が少し変わった。




「…………あの、えと………昨日はどうも……」
「…………はぁ、あ、具合は」
「え！？あ、大丈夫！！元気になったから！」



どこか照れているというか意識
しあう様になったのだ
いきなり二人の仲に異変が起こり
色音組のほかのメンバー…鳥雄を
覗いた3人は首を傾げた




「いきなりどうしたんだろうね
リーダーと理央奈ちゃん」
「なーんか…理央奈ちゃんの
対応が優しくなったというかなんか」
「様子が変だよなぁ」

「…………」




ソワソワとしながら意識しあう
理央奈と翔の二人を見て
顔を顰めていたのは…
理央奈に想いを寄せる
鳥雄であった




「(…さては理央奈ちゃんとなんか
あったんだな…？距離が縮まるような
出来事が…)」




彼女と距離が縮まる出来事が
あったのだと思った鳥雄は
負けてられん、と拳を握った




「…負けないからね、翔」




何があったかは分からない
…だけど、ここでへこたれるような
僕ではないと闘志を燃やした。




「(……理央奈ちゃん…
キスの事で怒ってこないなぁ…
なんでだろう…？)」



一方翔はと言えば、何故キスの事で
怒ってこないのかと考えていた




「(…もしかして…あれで俺の事、
意識してくれ始めた…とか！？)」




もしかしてあれで意識してくれ始めた
のでは、と希望を持ち顔色が
明るくなるがまた思い直す




「(い、いやまさかな…でも…)」




ちら、と横顔を見て…
そうであることを願う。




「(そうだったらいいのに)」



そして理央奈はと言えば
こちらも色々考え込んでいた




「(一言怒ってしまえばいいのに…
なぜ怒れないのは、なんでだろう…
本人が熱のせいでうなされてたから
しょうがない、って思っているから…？)」




そして昨日の翔の言葉を思い出す




「夢なら…いいかなって、」




「(…夢の私にならしても良かったと？)」



そう思うとなんかむず痒いやら
モヤモヤするやら変な想いが
ぐるぐる渦巻いて…




「(………モヤモヤする)」




理央奈は知らなかった
翔に対して「興味がない」から…
「気になる」に変わったということに…
そして3日目はすぎ…
最終日の遠泳大会も終わり
臨海学校は終わった


2人の男女に大きな進展を残して…