「ではまずは‥切出はさっき
先にやったから頼金から！！」



場面をカフェから公園の木の前の
風景に変えると、早速
ラブシーン勝負にあたることにした



「(‥人前でこんな)」



ちら、と理央奈が目をやった先には
黒いオーラを向ける女子たちの姿




「何よあの子‥‥鳥雄くんと翔くんと
あんなラブシーンするなんて生意気‥！」
「なんて妬ましいんでしょう！」

「(知らない‥‥‥)」




しかも相手は‥自分が降った相手二人
気まずいというかなんというか、と
またため息が出た
どうやらため息は理央奈の癖らしい




「では、アクション！」



理央奈の想いも知らぬ
色音先生はカチンコを鳴らした。
アクションの声がかかると鳥雄が
理央奈に歩みよる



「理央奈ちゃん‥君の告白の
返事を、ここでさせて欲しい」
「‥‥‥頼金さん」



理央奈は鳥雄を見上げる
鳥雄は桃色にそまった頬で
理央奈の真ん前まで来ると‥




「‥僕も君が好きだよ」
「‥‥本当に？」
「うん、だからそばにいさせてください」




想いを理央奈に伝えると‥
優しく理央奈に腕を回して
胸の中に彼女を閉じ込めた




「‥‥‥‥‥‥‥」
「(腕回さなきゃ行けないんでしたっけ)」
「！」




また自分の感情を前に出して
迷惑かける訳には行かん、と
ここは嫌でも演技を優先する事にした
理央奈は鳥雄の背に腕をまわした



「(‥やばい、嬉しい)」



演技とはいえ彼女をこの腕で
抱きしめられているこの状況が、
鳥雄は嬉しく思った



「っ‥‥‥‥」



その反面‥目の前の光景がやけに目について‥
ヤキモチやらなんやら黒い感情が
ごちゃ混ぜになって思わず翔は
眉間に皺を寄せる



「カーット！！いいねいいね！！
後半のアドリブが良かったぞ！！
頼金鳥雄、高得点！！」



またもや拍手が起こり、
その様子を見ていた愛花達も
拍手を送っていた




「ほーんと！演技ってこと忘れそう！」
「でもさ、よくやれるよな‥
ひ、人前で抱きしめるなんて大胆‥」
「へっ、ヘタレ」
「ん、んだと！！？俺だってできる！！」
「塊、ここじゃああたし恥ずかしいな」




妖にバカにされた塊か噛み付くのを見て
愛花はここじゃあ恥ずかしい、と
返していた