「………………」




その帰り道…塊はバスの窓から
ぼーっとしながら景色を眺めていた




「………なんで言ったんだよ俺……………」



ようやく告白できた
出来たのに、タイミングは彼に
とっては最悪の事態で…
本当は…2人きり、ロマンチックな
状況で…彼女を呼び出して
伝えるはずだったのに
心の中で呟いていたつもりの
言葉がこぼれて、と言うまさかの事態で
伝える羽目になり…




「（好きって伝えたかったはずなのに
いざ伝えたらこんなに後悔するなんて…）」

「（と言うか…告白するタイミングも
状況も！！絶対変だし！！
愛花も訳分からんって
顔してたし！！）」





心の中で自分を責め、弱音を吐いている
うちに塊の目に涙が浮かんで…



「（…あー、ヤバい…泣きそう…）」



ぐっ、と眉をしかめて…俯いた
あんな形で思を伝えてしまい…
絶対変なやつだと思われた、と
思うと恥ずかしくて…
それだけではなく
理想の告白ができなかった後悔や
振られてしまったかもしれないという
絶望や心配がぐるぐる渦巻いて…




「（絶対振られた、終わった…俺の恋）」
「………何やってんだ………俺………
情けないなぁ……………」



ボロボロ、と涙が溢れてきて
袖で涙を拭いとる
誰にもバレないように…
隣のクラスメイトが爆睡している
事を幸いとして
クラスメイトの影に隠れる



「く……っう”……ふ、ぅ」



塊は顔が見えないように俯きながら
静かに声を押し殺して泣いた。




「（こんなつもりじゃ、こんな形で
好きって伝えるつもりじゃなかったのに）」




そんな塊の様子を知らない愛花
はと言えば窓から景色を眺めながら
塊の先程の言葉を脳内で再生させていた




「好きだ」

「俺、やっぱり愛花の事が好きだ」



「………………」
「愛花ちゃん、スキーどうだった？
…愛花ちゃん？」
「え？あ、進なに？」



ぼーっとしていた様子の愛花に
隣に座っている進が声をかける…と
愛花は真っ赤な顔で進の方を向いた



「…なんでも、無い…大丈夫」




後悔している塊であったが…
この日が、2人にとって忘れられない
日になるとは知る由もなかった