そんな2人がバスに乗って着いた場所は…



「…海だぁ」



夕日に照らされてオレンジ色に
輝く海…海岸であった
夕日の光を浴びて輝く海は美しく
ほうっ、と息を吐いたが
なぜ海に？と疑問を抱きつつ
琉絵は妖の方を振り向いた



「……ね、妖これってもしかしてさぁ」
「ん？」
「デートだったりするの？」
「もしかしなくてもそうなんだよ」



気づけボケ、と返された言葉に
やっぱりそうかと琉絵は
少し頬を染めて俯いた。
夕方の海には妖と琉絵以外には
誰もおらず…昼は打って変わって
賑やかな海が人っ子一人居なくて
2人だけ、となるとなんか特別な
感じがして…




「…いーね、こーいうの」
「ムードあるだろ、だから夜に近い
夕方に連れてきたんだよ」
「なるほどねぇ」
「昼だとうるさくてムードもクソもねぇ」




2人で来るなら夜に近い夕方がいいな、と
琉絵はそう思いながらも
砂浜に腰を下ろす、と妖もその隣へ座る
ザザーン…ザザーン…という寄せては
引く穏やかな波の音が響いて耳に聞こえてくる

そしてまた寄せては…その上に重なり…




「あたしね、波の音好きだよ
聞いてるとぼーっとしてくるの、癒される」
「よく分かるぜその気持ち…でもな」
「？」
「おめぇといると尚更」
「どー言う意味ー？」
「け、鈍感が」




口説いたつもりだったが全く伝わらず
ふん、と妖は鼻を鳴らして頬杖
ついて海に目線を移した
そんな妖に首を傾げながらも
琉絵も海に目線を移した。