「また呑気な奴が現れおった‥」


少し息を吐きオウルが空を見上げながらその魔人が降りてくるのを待つ。
その魔人はルアの目の前にスっ、と降りてきた。


「！」
「へぇ〜、面白いやつが迷い込んできたみたいだな‥オレの名はナイツ！お前の名前は？」
「あたしは‥ルアよ」
「ルアか、ふーん‥なぁルア！お前空を飛びたいと思ったことはないか？」
「え？‥まぁ、自由自在に飛べたら、とは思うわよ」


その言葉に小さく首を傾げるとナイツは
ルアに手を差し伸べてきた。


「オレとデュアライズして見ろよ！その願いを叶えてやるぜ！」
「デュア‥？」
「デュ・ア・ライズ！」


どもるルアに強調しながら復唱したナイツ。
横からオウルが近寄り疑問に思う彼女に説明を始めた。


「ｵﾎﾝｯ!デュアライズとはな、ナイツの持つビジターと同化する能力の事じゃ」
「ど、どうか？」
「そうじゃ、まぁこれは説明するよりも試した方が早いじゃろう‥興味があるならナイツに触れてみることじゃ」
「‥‥」


チラリとナイツに目線を移す。
ナイツは噴水の前でルアをその青く大きな目に写して彼女が来るのを待っているようだった。
ごくり、と唾を飲み込み歩み寄ると
ナイツは手のひらを指しのばした。
ルアはその手のひらに自分の手を合わせる様にして手を重ねる‥


「っ！？まぶし‥！」


すると白い光に包まれルアはあまりの眩しさに目を瞑った。
光がやみ、目を開けると目に入ったのは赤と桃を使ったベストに胸に着いた宝石、紫のユニタードに細い体と腕‥そう、
ルアはナイツとのデュアライズに成功したのだ。
そのナイツの体は宙に浮いており、ルアは驚きと興奮を隠しきれない。


「(！！凄い、私‥！！貴方になっているのね、ナイツ！宙に、宙に浮いているわ)」
「これくらいで驚いてちゃダメだぜ？ルア」
「わしがナイツに変わって飛行の方法を教えてやろう。ナイツに意志を伝えながら飛ぶのじゃ、上手く意志を伝えんと同調できずに動きが狂ってしまう、まずはこの広場を1周してみなさい」


説明を終えたルアは体を倒して風をきり空を飛ぶ。
上に飛んでみたり噴水の周りを飛んだり、と初めての割にはすんなりと飛べた。
これはおそらくナイツのおかげだろうと飛行しながらも高調した様子でナイツに話しかける。


「(とても気持ちがいいわ、夢見たい！)」
「だろ？楽しそうでなによりだぜ」