「‥思った事ないか？
「あぁ、人間だったらな」って」
「…思った」



ナイツの言葉にリアラは頷いた
そう、人間だったら‥人間の男だったら
何も気にせずに壁もなく
ルアと…アイと
結ばれて、結婚して子供が生まれて‥
そんな未来を想像したら幸せに感じた。




「でも叶わぬ願いだ、人間にでも
生まれ変わらない限り‥じゃあ俺は」




ナイツは真っ直ぐにリアラを見つめて答えた




「俺はワイズマンを倒し自由になって‥
ルアに想いを伝えたい
夢が覚めるその前に」




ならばせめて思いを伝えたい、とナイツは答えた
そんなナイツの思いにリアラは怒るでもなく…
その意見に、賛同したい思いに駆られた




「俺はどんな形でもいいから
ルアの心に残りたい
そして…もしも叶うならば人間に
生まれ変わりたい…なぁリアラ」




ナイツは大事な事を、リアラに投げかけた




「折角アイがお前の事を信じて、
お前の世界を広げてくれたんだ
…そんな彼女の思いを無駄にするのか？」
「…私は」
「後悔しない方、選べよな！
それとアイと仲直りしろよ」




それじゃ、と言い残すとナイツは
ムーンタワーから去っていき
その場にリアラだけが残された





「…想いを伝える…」




リアラはナイツの言葉を何度も思い返していた
ナイツは自分なりに、後悔しない道を
選び行動していた


じゃあ自分は？




「(ワイズマン様かアイか
悩みに悩んでばかりだ)」




ナイツの話を聞いて、確信した
自分の本当の思いに
リアラは……ついに決断した





「私は、アイの事を守りたい
守って…この想いを伝えたい」




叶わなくてもいい
ただ、届けこの想い
罪ならばいくらでも償おう
だから…




「(君に謝らせてくれ、アイ)」




リアラはアイを探して飛び立った。