声が震える中、リアラは声を振り絞る



「…な、何を申されて」
「アイと言うのだろう
我がなにも知らぬとでも思ったか」




ああ、全てバレていたのかと
リアラは危機を感じ俯いた
だが、この状況で何よりも
心配していたのは
自分の身ではなく…




「(アイに何か
危険なことがあった…ら…？)」




アイの身の心配だった
心配しかけて…リアラは気がついた




「(おかしい、何故アイの事を
心配した？……自分の事よりも彼女の
方が大切だとでも言うのか？)」




それに、ワイズマンが先程言っていた
”ナイツの様に”と言う言葉




「(まさかあいつ…共に居たビジター、
ルアの事を)」
「リアラ」
「！ハッ、」




ワイズマンに呼ばれて
改めて頭を下げると
ワイズマンはこう告げた




「お前はナイツのような愚行をせぬと
思っておるぞ……我の言う事が分かるな？」
「…ハハァ」
「ビジターに余計な感情は持つな…
利用したら消せ」
「……っ…！！承知…しました…」




ワイズマンのその言葉にリアラの中に
「アイの危機」が迫っている
と言う焦りと心配…
そして「利用したら消せ」と言う
残酷な言葉への怒り…
そして自分を産んだ主人への
忠誠心がぐちゃぐちゃになって…




「(私、は…)」




アイに危機が及び、リアラは
初めて主人に反抗心を持った
だが、忠誠心と反抗心がぐらついて…
そんな心境の中リアラはアイの
元へと戻った。




「リアラ！おかえり！」
「… アイ」




アイの元へと戻れば
アイが笑顔で出迎えた
そんな彼女の笑顔を目にしたリアラは
心が軽くなり、自然と笑みがこぼれる
…だが先程の言葉がどうしてもグルグルと
渦巻き暗い表情になる




「リアラ、どうしたの？大丈夫？」
「…あぁ…少しな…アイ
いいか、よく聞いてくれ」




リアラはとりあえずボマンバの
事を話さねばとアイの元へ寄る




「………あのな、私の部下の一人が
またナイツに殺された
…もう次しかない」
「！そんな…」




アイのブルーイデアを渡すと
リアラは少し悩んだ後に…口を開く




「…急いで、ナイツを捕えなければ
ならない…分かってるね？」
「うん…」
「いい子だ」
「リアラ、私リアラとお姉ちゃん
のためなら頑張るよ！」




そう明るくアイに、ズキリと
胸が傷んだ……考えないように
していたが突きつけられた現実





「(あぁ、私はこの子を騙してしまっている)」




そう、自分はアイを騙しているのだと
事実がバレたらどうなる？
嫌われてしまい、もう彼女とは共に
いられなくなるのか、と思えば
鋭い痛みがリアラの胸をつき
悲痛な感情が溢れてくる。





『利用したら消せ』
『リアラ！私リアラの笑った顔好きだよ！』
「…っ…く…」





ワイズマンかアイか
リアラには大きな選択肢が2つあった
どちらを選べば良いのか、リアラは悩んでいた