「え」



エリオットは名を呼ばれ、ビクリと
肩を跳ねさせ驚愕した
…そして彼の顔をじっと見つめて…
ナイツの顔と彼の顔が重なって、
彼が誰かわかったエリオットは
名を呼んだ。




「…ナイツ？」
「あたり、久しぶり」




父親…ナイツはにっこりと笑い
子供を抱っこして母親である彼女の
隣に立ちながら手を振る
エリオットは感極まり、ナイツに駆け寄った。





「ナイツ！！ナイツ、本当に君なんだな…！」
「俺だってよくわかったなエリオット」
「ナイツ、知り合い？」
「おう、ちょっとな」




子供を母親に渡して微笑むナイツに
色々気になることはあるのだがまず
エリオットは隣の彼女と子供に
ついて聞いた。




「…色々聞きたいんだけど…まず
ナイツの隣の彼女達は…」
「俺の奥さんと子供」
「ルア・キャンベルです
ほらナルご挨拶は？」
「俺、ナル」
「エリオット・エドワーズです
ナイツとは友人だったんだ」
「そうだったのね、ふふ」



やっぱり、というか予想はしていたが
彼女はナイツの奥さんだった
ここでエリオットは次の疑問を投げかけた




「ナイツ…どうして君が現実の世界に？
それに人間になってる…」
「話は長くなるから説明はめんどくさいけど…
ルアの傍にずっといたくて
人間になったんだ」
「そうなんだ…」




ありえない話であるはずだが、ナイツが
言えば簡単に納得出来た。
ナイツの手から離れてふわふわと
浮かぶナルがエリオットの顔を
覗き込んだ。




「！」
「おっちゃん、昔の父さんの事知ってるの？」
「うん、昔のお父さんは
君とそっくりだったよ
…一瞬この子のこと、ナイツだと
勘違いしたくらいだったから」
「でしょう？リアラと妹にも言われるわ」
「え、リアラ！？彼も！？」




リアラの名が出たエリオットは
心底驚きルアに聞いた。
ルアはこくりと頷いて
語った。




「えぇ、リアラは私の妹の旦那なの
そしてこの子の従兄弟も誕生してる」
「この子とリアラの息子は
夢と現実を繋ぐ新しい未来を
紡ぐ子なのさ」




夢と現実を行き来できるナルと
リアラとアイの息子、リオーレ
2人は夢と現実を繋ぐ子供なのだと
2人は暖かな目で語った。
エリオットはそんなふたりに微笑んだ。




「…そっか、ねぇナイツ…今幸せ？」
「そりゃあ！凄く幸せさ！」
「よかった…よかった、」




ナイツに会えて
ナイツが幸せに暮らしていて
新たな命が生まれていて…


よかった、とエリオットは目に熱いものを覚えた。




「今度、リアラ達にも会わせて欲しいな
クラリスもきっと会いたがってる」
「あぁ、もちろん」




人間となった彼との再会に
エリオットの疲れた心はとっくに
浄化されていた。