ベルブリッジが遠くに見える街中を
鞄を手に帰路へ着いている途中の
サラリーマンが足を止めて
ベルブリッジの時計塔を見上げた



「………ふぅ」



青い髪を揺らしたサラリーマン…
彼の名はエリオット、彼はかつて
ナイツと共に夢を冒険した少年
彼は月日がたち大人になり、それなりに
いい会社に就職して同じくナイツと
冒険した少女、クラリスと結婚していた
あの夢も遠い思い出となり現実を
生きていたエリオットはどこか疲れを
覚えていた。





「(…ナイツと冒険した夢が懐かしいな)」




あれはただの夢で現実ではないと
思ってはいても…どうしてもまた彼に
会いたいと願って空を見上げていた
…ナイツの事を思い返していたその時





〜♪…〜♪…





「…ん？」





ふと、エリオットの耳に聞こえた笛の音
その笛の音をどこか懐かしく思った
エリオットは目を閉じその笛の音を
聞き………しばらく聞いていたエリオットは
その笛の音にハッ、と思い出した。





「(この笛の音は…そうだ、ナイツの物だ！！)」





この笛の音はナイツのものであると
そう確信したエリオットは
真っ先に笛の音の元へと走っていった
走って、走って、走って………
エリオットは人が誰もいない野外ステージに
たどり着き、肩で息をしながら周りを見回した。





「…ハッ、ハァ…はぁ……」





エリオットは辺りを見回し…野外ステージの
上に人影があった
紫色の髪を揺らして宙に浮かびながら
フルートを吹いている5歳くらいの子供がいた
その子供にナイツの面影を重ねた
エリオットは震える手を握りしめ、
子供に声をかけた。




「…っあ……」

「「ナル」」
「！」




声をかけようとした、その時
野外ステージの前の席から紫の髪をした
男が子供に声をかけ、子供が振り向く

その子供は紫色の髪に前髪だけが黒く
真っ赤な瞳で父親と思わしき
男を目に移して抱きついた。




「父さん、母さん俺のフルートどうだった？」
「やっぱり貴方の演奏と似てるわ」




子供にばかり注目していたがどうやら
両親が席にいたらしい
クスクス、と母親は子供の頭を撫でた
…そこで、父親らしい男が
エリオットの方へと振り向いた。
青く、まるで青空のようなその瞳は
夜の闇に溶け込み、夜空のような色へと変わっていた
その男が、エリオットの名を呼ぶ





「……エリオット？」