そうお腹を撫でながら話していると
ガチャ、と玄関のドアが開く音が聞こえて
来て2人の声が聞こえてきた。



「「ただいま」」
「！リアラとナイツ帰ってきたよ」
「お邪魔してまーす」」
「「おかえりなさい」」




玄関まで出迎えると、それぞれの
愛おしい旦那に抱きついて
頬にキスを落とす、すると彼も
唇にキスをし返した。




「サーカスのパフォーマンスの
練習疲れたでしょ」
「まぁなー、後輩の育成とかも
あるし」
「私とナイツはパフォーマーだからな」



ナイツとリアラは世界でも有名な
サーカス、「コールマフィーサーカス」の
パフォーマーとして活躍している。
特に2人の「空中ブランコ」や「アクロバット」
等のパフォーマンスはトップレベルと
呼ばれており人気となっていた




「この前もテレビ出てたねナイツとリアラ！」
「最近じゃあ外出る時にはサングラス
しねぇと行けなくなったぜ」
「有名になると困るわね」
「全くだ」





ジャケットを脱いでポールハンガーに
かけると、ソファに腰掛けている
ルアの元に
アイの元に跪いて
お腹に耳を当てた。




「ただいま、お父さん帰ってきたぞ」
「おかえりなさいって、ほら…うふふ」
「体大丈夫だったか？」
「ええ」

「元気に、いいこにしてたかい？
お腹の調子は？」
「だいぶいいよ」




耳を当てるとぽこん、とお腹を蹴る
感覚があり思わず笑みがこぼれた。
そういえば、とナイツは2人に
気になっていたことを尋ねた




「そうだ、赤ちゃんの性別
見てもらったんだろ？どっちだった？」
「女の子だったわ」
「女の子かぁ…！！」




今日はルアとアイは
赤ちゃんの性別を見てもらいに
行っていたのだ。
そしてルアのお腹にいる
赤ちゃんの性別が女の子であると
言うことがわかった。




「アイ、この子の性別は…」
「男の子だよ」
「そうか、男の子か…」




性別が分かり、どこか浮き足立った
様子でリアラとナイツはお腹を撫でた。
この子に会うのが待ち遠しいと
行った様子の旦那を見る2人も
思わず笑ってしまった。





「女の子と男の子かぁ、どんな子になるのかしら！」
「お父さんそっくりになったりして」



ヘレンとウィルはそれぞれ、
どんな子になるのだろうと想像をふくらませた。
そんな2人にナイツは返す



「どんな風に育っても俺の子さ、
悪さしないならそれでいいよ」
「私もナイツと同意見だ」
「ふふっ、そうね！」
「あ、そうだ！僕そこの駅前の
ケーキ買ってきたんだけど
みんなで食べようよ」
「お！！ウィルナイス！！」
「私切り分けるわね！」



ルアとアイは
ケーキを切り分けてはしゃぐ
4人の姿を眺めると
慈愛に満ちた瞳でお腹を撫でた。





「あなたのお父さんは自由を愛する
正義感に満ちた人よ」

「お父さんはきっと君のことを
大事にしてくれる、だから」




元気に生まれておいで
可愛い赤ちゃん



「ルア、はい」
「！ありがとう、ナイツ」
「あー」
「ふふ、あー…」




そうお腹を見つめているとケーキを
持ってきたナイツがルアに
1口分をフォークに切り分けて
ルアの口へと運んだ。




「！ねぇリアラ、私も！あーんして
食べさせて欲しいな」
「そう言うと思ったよ、口を開けてご覧」
「あーん！」
「…ん」




そんな様子を見たアイが
リアラにあーんをおねだりし、
リアラは眉を下げて仕方ないなと
言った様子で笑うとケーキを
切り分けて食べさせた。
ご馳走も並べてパーティーが始まり騒ぐ6人

そんな彼らとは
違う部屋…ルアの部屋の
少しだけ空いていた窓から風が吹き、
ルアの描いた絵本のページが
風でめくれて最後のページがめくれると
風はおさまった。






最後のページに描かれていたもの、それは…
手を繋いで共に夜空を飛ぶ
ナイツとルア
リアラとアイの姿だった