「輪入道が目を覚まさなければ、こんな事にならなかったのに」
「欲張りな心がこの事件を起こしたんだね！」
「あんな目にあってもまだ設けたいなんてもはや怖いわ！」
「あいつめ、ダイヤを運び出している内に輪入道が目ざめ1度は襲われたんじゃろう！それでも懲りずにへんてこりんな服まで作りおって！」


その後日…夢子は再び鬼太郎の家へ遊びに来ていた。


「人間って浅ましいのね…」
「欲のためになら、なんだって利用するんだからなー…」
「夢子ちゃーん！」
「あらまた浅ましいのが来たわよ」


そんなふうに話していると、ねずみ男が小箱を持ってやって来た。


「あぁ夢子ちゃん！間に合ってよかった！お詫びの印にね、プレゼント持ってきたんだよ！」
「ほらぁ！」


小箱を開けるとそこにはダイヤが鎮座しており、
戸田と白夜が身を乗り出す。


「あ！すぐ疑う！これ本物よ！？本物…あっ！？」


ダイヤはすぐに煙となり消え去ってしまい、ダイヤは洞窟から持ってきたものであるということが判明した。


「すると今まで持ち出したダイヤも今頃は…」
「消えてるでしょうね、大騒ぎだわ」


その予想は大当たり、あの社長の所で買ったダイヤが次々に消えてしまう事件が勃発し世間は騒ぎになった。
その夜、鬼太郎の所へ泊まることにした
白夜と目玉おやじと鬼太郎はその事について話していた。


「ねぇ、どうして人間はあんなにダイヤを欲しがるんだろうね？」
「そりゃお前、高いからさ」
「どうしてあんな石ころが高いんだろうね」
「そりゃお前…おやすみ、鬼太郎、白夜」
「おやすみ、父さん」
「おやすみ、親父」


戸田は先に眠った目玉おやじに葉っぱの布団をかけてやった。
目玉おやじが眠ったのを見計らい戸田は白夜と隣へ座りなおす。


「…ねぇ、白夜ちゃん」
「何？鬼太郎」
「白夜ちゃんは…将来、ダイヤの指輪欲しいのかい？」
「え？…絶対欲しいってわけじゃないわよ！、ただの憧れ」
「そ、そっか！なら…」
「？」
「な、なら…さ…なら、えと、」


鬼太郎は真っ赤な顔で言葉を紡ごうとするが緊張して中々言葉が出ない。
『将来そのダイヤの指輪を俺にプレゼントさせてくれよ、婚約指輪…なんてね！』
さぁ！言うんだ！と自分に活を入れるが心臓が大きく高鳴り言い出せない。


「(ほら言うんだ！俺！！白夜ちゃんに男してみてもらうために…彼女を手に入れるために…！意識して貰うために、でも、)」
「…鬼太郎？」
「や…やっぱなんでもないや…」


やはり言い出せずにがくり、と落胆した。


「(ちくしょう…なんで僕は言い出せないんだ…)」
「鬼太郎、もう寝ましょ？」
「あ、うんそうだね！おやすみ白夜ちゃん！」


様子のおかしい戸田に首を傾げつつ
白夜は横になり眠り始めた。
疲れていたのか目を閉じて直ぐに白夜の意識は夢の世界へ度だった。
戸田は寝床に潜り込もう…としたが、眠り出した白夜の方へ向き…静かに彼女の方へ寄って座り、寝顔を眺める。
その瞳には熱が籠っており、まさに恋する男の目だ。
戸田は小さくため息を着く。


「また言えなかったなぁ…かっこいい口説き文句…」


小さく寝息を立てる想い人。
その寝顔にまた胸が大きく高鳴り愛しい思いが溢れ出す。


「…好きだよ…白夜ちゃん、僕は君のことが好きだ……ちゃんと、起きてる時に伝えさせてくれよ…僕、頑張るからさ…」


そう起きないように呟きつつ顔を近づける
彼女は熟睡しておりなかなか起きそうにない。
そんな戸田の心のうちに少し、少しだけ…
魔が差しそうになる。


「(…よく寝てるなぁ…キス、しちゃっても…起きないかな？)」


すーっ、とさらに顔を近づける…
もう既に鼻がつきそうな距離。
もう少し…というところで場所をそらし、
白夜の額へキスを落とした。


「…………し…しちゃった」


唇を離し、しばらくぼーっとした後に自分がした事を自覚してボンッ！！とトマトのように顔を赤くさせて寝床へ潜り込んだ。


「(しちゃった、つい、しちゃった……起きて、ないよな？)」


戸田はそのままぎゅうっと目を瞑って眠ろうとするがなかなか興奮して眠れない。
実は起きていた目玉おやじがそんな戸田の方をちらりと見るとまた知らないフリをして眠る体制に入った。


「(青いのう…)」