「オネーサンの事も俺っち知ってるぜ？
フルートが抜群にうまいギャルがいるって」
「…フルートじゃない、ピアノ…
あのそれって」
「ウソだよ〜！」




牙を見せながらケタケタと笑う
ゴクオーに香澄は
あぁ嘘が好きってのはホントなんだと
実感した。




「…………君、おうちどこ？
………あれなら私送ってこうか…？」
「その必要は無いぜ」




ふと窓を見ると雨が止んできていたので
彼を送ろうかと声をかけてみる
するとゴクオーはその必要はないと首を振った




「俺っちここにお世話になるから」
「へ、？」



ゴクオーの発言に何を言っているんだ
また嘘か？と頭をめぐらせていると
固定電話がなった。




「オネーサン電話鳴ってる」
「え？あ、ごめんねちょっと出てくる…」




ゴクオーに断りを入れ
固定電話の受話器を取ると
耳に当てた。



「もしもし、？」
『あーもしもし！香澄？』
「お母さん、？どうしたの」




電話の相手は母親だった
どうしたのだと尋ねれば
母親はあぁそうだ、と前置きして
要件を話し出す




『香澄、あのね貴方の所に
ゴクオーくんて子来てるわよね？』
「え？うん、いるけど…なんで？」
『あのね、ゴクオーくんね
遠い遠い親戚の子でねー
八百小に転校して来てねー
八百小が近い貴方の部屋に居候させる
事になったのよ』
「、へ、？」




母親の発言に思わず固まった
あの子と？共に暮らす？




『だからお願いねー、要件それだけ！
お金の問題は気にしなくていいわよ
前より多く振り込まれるみたいだから』
「え、あ、そういうんじゃなくて、ちょっ、
…切れた…」




母親の話が一方的に終わると
香澄は呆然、とした後に
ゴクオーの元へと戻る
ゴクオーはにまにまと笑いながら
香澄の事を見ていた




「これはウソじゃなかったろ？
と、言うわけでオネーサンこれからよろしく♪
迷惑かけさせないからさ」
「にゃあ、カァ！」
「…え、あ、うん？よろしく…」




なぜこうなった
そう言いたいのは山々だったが
そうなったものは仕方ないと
香澄は事態を飲み込んだ。

こうして奇妙な生活が始まったのだった…




「改めて、俺っちはゴクオー！
大好物はウソだ！」