凶悪な双子の兄の巻

切出翔は双子である


この噂は中学内に出回っていた
噂の出処はとあるヤンキーの生徒の情報だった



『世紀末中学に切出って苗字の
切出そっくりの男がいた』



という情報が出回り
翔は双子なのかと生徒たちは
噂していた、そしてその情報を
知った飾は翔に尋ねた




「なぁ翔、翔って双子の兄弟いたりする?」
「ぶっ!?」




飾にそう尋ねられ翔は椅子から
転げ落ちてわかりやすいほどに動揺していた




「な、な、なんで?」
「いやね?世紀末中学に翔そっくりの
男いたって…それにそいつの苗字が
”切出”だったって言うから」
「……………………」




その言葉に翔は話したくなさそうに
目を閉じてしばらく黙り込むと…
ため息をついて口を開く




「…………い、いる……そいつが俺の双子の兄さ」
「え、まじなの!?」
「世紀末中学ってヤンキー校じゃん…」
「ヤンキーなの?」
「………うん…………
ぶっちゃけ怖いし苦手なんだよ
亜瑠の奴は…」




顔は同じなのになぜ双子で
こんなに違うのだろうかと
翔はまたため息をついて
話をはぐらかした。





「も、もういいだろ!?この話は!」
「え?うん」
「翔の奴よっぽどその双子の兄
苦手なんだな」
「ヤンキーなら」
「仕方ない」



そんなメンバーの話を聞き流しながら
翔は頬杖を着き考える




「(女の子にモテモテだけど
勉強もスポーツも喧嘩もダメな俺と
女の子が嫌いだわ愛想悪いわ
ヤンキーでタバコ吸うのに
勉強もスポーツも完璧な亜瑠)」



なんで同じ遺伝子から産まれたのに
こんなに違うんだと考える
そしてその頃亜瑠はと言えば…


…………………………………………………………………………………


「文治!!火ィ!!!」
「はい亜瑠さん!!」



落書きだらけで治安が悪そうな
学校の屋上で数十人がたむろっていた
そしてそんなヤンキーたちの前で
タバコを吸う金髪の男
彼こそが切出亜瑠だった




「あーーー……退屈だし授業クソだし
イライラする」
「へへ、全くですね亜瑠さん
なんかいい事ないですかねー」
「カツアゲでもしてゲーセン行きます?」
「あ、そーいや亜瑠さん双子の弟
いるってほんとっすか?」
「あ?ほんとだ…………あ」



子分のひとりが呟いたその言葉に
亜瑠は一つの案が思い浮かび
ニヤリと笑った




「…それだぁーいいこと思いついちまった」
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