駆けつけたのはそれぞれの組のメンバーと
千絵と唯、そして御女組だった
にこ、と隈のある顔でにこやかな笑顔を
浮かべて手を振りまるで普通に帰り道で
別れるかのように死ぬのだと宣告する
目の前の彼らに、豪は叫んだ




「何言ってんだ！！！リーダー！！
早まるな！！んな事薫ちゃん
達が望んでるとでも…」
「望んでるとも、だって薫
ちゃんが私を呼んでるんだから…
ほら、今もほら！私達を呼んでるじゃないか」
「え…？」



ほらほら！と指さす先を全員見るが…
指さす先には誰もいない、広がって
いるのはオレンジ色の空と夕日のみ
頭から水を被った様な思いに駆られ、
震える声で…怯えながら唯が口を開く




「零…さん？誰も…いませんよ…？」
「俺たちにしか見えないんだな」
「見なくていいよ、だって愛花を
見て触れれるのは俺だけなんだから」
「俺だけって思うとさ、優越感凄いや」




うっとりとした顔で4人は語り出す
そんな4人とは対照的に駆けつけた
者はみんな真っ青な顔で固まっていた
狂っている 彼らはどうかしている
思うことは同じだった




「…琉絵は明日で居なくなる、
あいつがいなくなったら俺は生きて
行けない…だからさ、行くことにした」
「ごめんな？…俺、やっぱり理央奈ちゃんと
一緒にいたくって…」
「だから…」



塊ー！早く早く！！
零くん、こっち
翔さん、待たせないでくださいよ
妖、おいでよ



あぁ、彼女達が呼んでいる…腕を広げて…

俺が
私が

来るのを待っている…





「あぁ…今行くよ…」
「薫ちゃん、分かってるわかってる」
「待たせてごめん、今そっち行くから」
「琉絵……待ってろ、今行く」

「「やめろ！！リーダーーーっ！！」」
「零さん！！」
「塊さん！！」
「妖！！翔！！よせ！！やめろーー！！」




彼らが飛び降りるのを阻止するために
駆け出し腕を伸ばすが…声は届かない

光のない虚ろな瞳で後ろの皆には
見えない恋人を映し出し
恍惚とした赤い頬で、彼女の方に
腕を伸ばして…



「愛花！」
「薫ちゃん！」
「理央奈ちゃん！」
「琉絵！」



愛しい彼女を名を呼び
思い切りコンクリートの屋上の床を
蹴り、目の前で腕を広げる彼女の
元へと体は投げ出され…
後ろの彼らの腕は寸前のところで届かずに
重力に従い体は真っ逆さまに真っ直ぐに
落ち、硬い地面に4人の体は叩きつけられ
愛しい彼女の元へと行ったのだ