ラッキーマンは、ただでさえ大きな口を
あんぐりと大きく開けて落ちてきた天才マンと今隣にいる天才マンとを見比べた。


「て、ててて‥天才マンが2人、どうなってんの〜！？」


天才マンが2人というこの状況に
勝利マン達もさすがに冷静ではいられないようだった



「どー見ても天才マン…です、よねぇ！？」
「あ！！わかった、双子とかじゃない！？」
「だとしたらなんで女の子と一緒に落ちてくんだよ」
「あ、そっか」
「それと、私に兄弟はいない‥どうやらそいつは本当に”私”らしい」



目を閉じて気絶したままのもう1人の自分を見て冷静に答える天才マン。



「‥う、うぅ」
「‥ん、ん」
「はっ！！こ、こうしちゃいられないとりあえず運ぼう！！」
「本人たちが起きてからいろいろ聞かせてもらいましょ！！」



苦しげに天才マンと鈴音が唸ったことで
はっと我に返り、一同はふたりを
マンションへ運んだ。
マンションへ運ぶと布団に寝かせて
周りに座って起きるのを待った



「……そんで、なんで天才マンが2人になるんだ？」
「そんで天才マンと降ってきたこの子は一体？」


運んだはいいが謎だらけで頭を捻った。
しかし天才マンはもうふたりが何故ここに
来たかを分かっていたようで説明しだした



「…恐らくそのふたりはパラレルワールド、異なる世界から来たんだろう」
「パラレルワールド！？」
「そう…普段はパラレルワールドと繋がることは無いんだが、何かしらトラブルがありここへ来たのだろう…」
「なんかよくわかんないけどふーん‥」
「つまりは別の世界から来たということだ」
「あ、なるほどー」


別の世界から来た、となればなんか納得がいった
が、謎はまだ解けていない…鈴音の事だ


「んでこの子なんなんだろう？」
「ラッキーマンみたいな格好してるけど」
「見たいな、ではなくそうなんだ」
「「え？」」



首を傾げた皆に大して天才マンは告げた



「この子がこのもうひとりの私の世界のラッキーマンなんだ…別人だが、間違いない」


「へっ！？！？」
「な、なんですって！？」
「こ、この可愛い女の子が…」
「もう1人の…ラッキーマン！？」


ばっ、と鈴音を見る
どう見比べても自分とは似ても似つかぬ
その子はまだ眠ったままだった



「この子がラッキーマン！？」
「う、ううううっそだぁー！！」
「いいや、嘘では無い…その証拠にこの格好‥容姿こそは違うが同じ、ラッキーを使い戦うラッキーマンだ」
「はぁ〜…こんなに可愛いラッキーマンがいるのか、こっちの天才マンの世界には‥」


実感なさげに眠っている鈴音の
顔をしげしげと眺める
とにかく、どちらかに起きて貰い
説明をしてもらわないことには…と
起きるのを待っていると…


「…っう…」
「あ、も1人の天才マンが…！」
「………ん……んん…」


天才マンが、瞼を固く固く閉じたかと
思えばゆっくりと目を開いた
そんな彼に顔を除きこんで様子を見る。


「………私…は……」
「や、やぁ、天才マン…も1人の…」
「もう1人の？……！？」


友情マンが笑顔を浮かべながら眠っていた
天才マンの顔を覗き込む。
キョロキョロと辺りを見回すと、勝利マン
や努力マンの他に…自分がもう1人いる
ことに驚いた、が…


「…私、は…そうだ、メカに吸い込まれて…パラレルワールドに…」
「メカ？メカに吸い込まれて…？」
「メカといったら…メカ…誰かいたか？」
「……！！鈴音！！！」
「ひぇえ！？！？」


ぼんやりとしながら起こったことを思い出し…
そこで、庇おうとして抱きしめていた鈴音
の存在がいないことに気がついて勢いよく
起き上がった
ラッキーマンがそれに驚いて尻もちを着いたがお構い無し。


「鈴音！！何処だ！！鈴音！！」
「ちょ！！ちょ、落ち着けって！！鈴音って一緒にいた女の子の事か！？」
「いるよ！！いる！！寝てるから！！」
「！！…本当、か？」
「本当だよ、ほらこの子だろ？」


友情マンが指さした先には、布団に寝かされ
眠っている鈴音の姿があった。
彼女の元へ寄って様子を見るが、怪我はないようで天才マンはほっと息をついた。


「……怪我は、無いな…良かった……」
「…そんで、安心してるとこわりぃんだけどよ…お前、別の世界の天才マンとラッキーマンなんだろ？」
「あぁ、いかにも」
「教えてくれませんか、貴方とこの…鈴音ちゃん？がここに来た理由を…」
「…教えよう…それは…」


天才マンはここに来た経緯を話し始めた。
最強男爵のメカによって、ここに来てしまった
事を話すとやはり、と言ったように苦笑したり呆れたような表情を取ったりと反応はそれぞれだった